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興信所はどこまで
調べられるのか

興信所はどこまでわかるのか

興信所に依頼する際、「興信所っていったいどこまでわかるの?調べられるの?」という疑問が生じることは理解できます。この疑問に対する説明には、「法律」と「権限」についての理解が不可欠です。

  1. 法律の枠組み:
    興信所は法的な制約を受ける職業であり、個人のプライバシーや法的な権利を尊重しながら活動します。調査業務においても、法令や個人情報保護法などの法的枠組みを順守しながら行動します。これにより、合法的かつ倫理的な調査が行われることが保障されています。
  2. 権限と範囲:
    興信所は調査対象者のプライバシーや法的権利を守りながら、一定の情報収集・調査を行います。しかし、探偵や興信所にも権限の範囲があり、法的に制約されることがあります。たとえば、通信の盗聴や不法な侵入などは行えません。合法的かつ道徳的な手法での調査が求められます。

法律と権限のバランス:
興信所の活動は、法律と権限のバランスを取りながら行われます。合法的な手法でありながら、クライアントの合法的な権利を保護しながら情報を収集し、提供します。一方で、悪質な侵犯行為やプライバシーの侵害は行われないように法的に監視されています。

まとめ:
興信所の調査範囲は法律と権限に基づき、プライバシーや法的権利を尊重したうえで進められます。合法的な手法で信頼性の高い情報を提供することが、興信所の重要な役割とされています。探偵や興信所の調査は、法的なフレームワークを守りながら、クライアントに対する信頼性を確保することが求められます。

興信所

1.「探偵業法」

興信所を営業する上で適用される法律として、まず「探偵業法」があります。

現代の興信所と呼ばれる調査会社は「探偵」とほぼ同義であるのが実態だからです。

同法には探偵業の定義が記載されています。

第二条(定義)
他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を興信所の依頼者に報告する業務を行う営業をいう。

興信所が尾行・張り込み・聞き込みを用いる調査を行う場合は探偵業法の規制を受けるわけですが、同法によって探偵と同様、業務のために尾行・張り込み・聞き込みを行うことが認められています。

このように法律で明確に認められているのは探偵だけですので、正当な権限と言えるかもしれません。

但し、あくまで法律に乗っ取った上での尾行・張り込み・聞き込みに限定され、例えば、住居不法侵入をしたり、他人に不安や恐怖を与えたような場合は違法行為となってしまいます。

その他、窃盗、器物損壊など通常の犯罪行為を用いた調査はもちろん犯罪となります。

また、同法では「差別に関する調査」「犯罪行為や違法な行為のために用いられる調査」は禁止されています。

第九条(探偵)
探偵業者は、当該探偵業務に係る調査の結果が犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いられることを知ったときは、当該探偵業務を行ってはならない。

(禁止調査の例)

結婚や就職に際し、対象者の出自を調べるような調査
→ 差別調査に該当

依頼者がストーカーであり、ストーカー行為を行うために対象者の所在を調べる調査
→ 犯罪行為や違法な行為のために用いられる調査に該当

これらの調査を行うことは探偵業法違反に該当します。

別の言い方をすれば、同法の規定により探偵や興信所には上記のような調査をする権限はなく、むしろ違法となるということになります。

2.「興信所業者が講ずべき個人情報保護のための措置の特例に関する指針」

これは興信所業者に関わるガイドラインであり、特に個人情報の取扱いについて定められています。

同ガイドラインには興信所の調査業務に関する定義が記載されています。

他人(個人である者に限る。以下、同じ。)の生命、身体、財産その他の権益保護のために必要な人の所在又は行動に関する事項について、当該他人の需要に応じて調査し、その結果を当該他人に報告する業務。

また、依頼内容に法的な正当性(法的根拠)がない場合は、調査対象者に調査することを通知しなければならないとされています。

但し、以下のようなケースでの調査は行わないようにしなければなりません。

  • 社会的差別となる原因となるとき
  • ストーカー行為規制法違反やその他の犯罪となるとき
  • DV被害者の所在調査が目的であるとき

また、例えば盗聴機器 を用いる場合など違法な手段に該当しないように調査をしなければならないとも記載されています。

探偵業法と異なる点は、ガイドラインのため特に罰則がないことですが、尾行・張り込みを調査で用いる場合はやはり探偵業法での届出が必要になります。

興信所はどこまで調べられるのか

「興信所はどこまで調べられるのか?」という疑問に対して、正確な答えとはなりませんが、上述の法律から考慮すると以下の2点がポイントとなります。

  • 尾行、張り込み、聞き込みを用いた調査ができる(但し探偵業の届出が必要)が、犯罪や違法な行為を伴うことはできない。
  • 差別やストーカー行為、DV被害者の所在判明その他、犯罪や違法な目的による調査はできない。(探偵と同様)

興信所の能力

興信所の得意分野は企業からの信用調査や雇用にかかわる身元調査、個人からの依頼では結婚調査などが多いと思われるかもしれませんが、実際には尾行・張り込みをする素行調査、浮気や不倫の事実を調べる浮気調査、失踪人の捜索などを得意とする興信所も多数実在しています。

最近では女性の社会進出の影響からか、妻からの依頼よりも妻の浮気調査を依頼する夫がかなり増加しており、離婚率の増加の一因とも聞かれます。

また長引く不況も重なり、金銭トラブルに係わる失踪人の所在調査などが多い今日この頃であります。

興信所の得意な調査分野

興信所や探偵事務所が請け負う調査項目は、一般的には同様であり、調査業という括りで興信所と探偵を考えると「同業種」とされることが一般的です。過去においては、興信所が主に紳士録等の編纂業務を担っていた時代もありましたが、現代においては紳士録を出版する興信所は減少し、「興信所と探偵の違い」がほとんどなくなったと言えます。

ただし、興信所が得意とする調査項目として挙げられるものの一つが「内偵」と呼ばれる信用情報の調査です。この分野では、興信所が情報を収集・解析し、信用調査を行うことが特に得意とされています。興信所の専門性が活かされ、信用情報の精密な調査や分析が行われることがあります。

興信所に信用調査を依頼する際、その専門性を活かしてクライアントの要望に応える形で情報収集や分析が行われます。現代でも、信用調査の依頼先として興信所が選ばれる傾向があり、その分野において興信所が他の探偵業務と差別化されることがあります。

要するに、興信所と探偵事務所は同業種でありながら、特に信用情報の調査分野での専門性が興信所には見られ、その点で差別化が生まれることがあると言えます。