体力と精神力

 探偵は地味な日常を送っている。依頼が入ると「対象者より早起きし対象者の就寝」を見届ける。人によっては「ハードな毎日」と思う様だが慣れてしまえば問題ない。

探偵のプライベートは「地味」そのもの。(私個人の場合)

多くの依頼現場は「調査終了後帰宅し、食事して寝る」を繰り返す日常が進行してゆく。現場が「生活の場」と言っても過言ではないと思う。そんな毎日のなかで「現場にとけ込む術」を自然と体得してゆく。

個人的な考えになるが調査に日数が掛かれば掛かる程、現場にとけ込めなければ悪循環が発生する。

周辺住人の警戒心に触れたり、遠回りに対象者の身内に存在を悟られたり。これらが悪循環の最たる物と言える。全ての調査現場が悪循環になる訳ではないが「現代社会の防犯意識」が高まった事から、一昔前と同じ調査の手法では通用しない現状にある。

昔の探偵より「現代の探偵」に求められる「体力と精神力」は並大抵ではない。

格安な調査

 浮気調査や素行調査・所在調査に身元調査。全ての調査を自社でこなせる探偵や興信所は希である。

調査力に優れている事は当たり前な極普通の事。多くの依頼者は「ありきたりの調査結果プラスα」の情報を欲している。プラスαな調査結果を格安な調査料金で提供する事は「極めて困難」と言える。

低料金・安心価格を前面に提示した探偵達に出来る仕事ではない。

そんな探偵達の常套手段が「追加調査」である。

案件によっては「本調査以上の追加料金」が発生するケースも存在している。

依頼する際には「要注意」である。

 

高額か低額か?

 探偵の調査料金を殆どの方は高額に感じる。

実際に浮気調査を例に上げると、時間料金で夕方5時から調査を開始し6時間の調査で13万円前後の費用が発生する。仮に10日間に渡り「浮気の証拠」を撮る為に同様の調査を実施すれば単純計算で130万円の調査費用が発生する。

この金額が「一般的価値観からは安価」とは言えない。

それならば安い調査を行う探偵を探すとなるわけだが、おすすめ出来る探偵の評判を聞いたためしがない。

安くて良い仕事ならば文句のつけようがないが、殆どの場合「安価のリスク」が存在している。安い調査はそれなりの調査報告になる覚悟が必要であると思う。

いずれかの選択を決定する事は「依頼人の自由」なので慎重な探偵選びの参考にしていただきたい。

 

 

軽々しく言えない

 探偵事務所や興信所のホームページやウェブサイトの宣伝文句にある「信頼や実績」「経験豊富なスタッフ」などを目にする。正直・・・ホントに?と疑念を持たずにいられない自分がいる。

我が興信所も駆け出しと言わない迄にはなったが「日々努力と勉強」であることに間違いない。

30年以上の業歴があってもである。

探偵稼業はそれだけ経験と実績が「依頼の対応力」に直結していると言える。

ここだけの話、起業して数年の探偵に「出来る依頼」には限界があると考える。根拠は何か?「総合的な調査力」が乏しい事。長年培ってきた調査ノウハウの有無で調査力は天地程の差がひらく。簡単に言ってしまえば「出来る事が限られている」のです。

経験と実績を語るには数十年の社歴が必要かと思うのです。

 

 

憧れと現実

 探偵になりたい憧れをいだく若者は多い。

探偵の現実を知って1年未満でドロップアウトする若者を目にする。探偵学校などにお金をかけて探偵を志す若者は覚悟があるのだと私個人は勝手に解釈して多くの若者を見守ってきた。

ドラマの中の「松潤」や映画のなかの「大泉洋」に憧れて探偵を志してもリアルな探偵の日常とのギャップはあまりにも差がありすぎる。

どんな職業でも同様のことが言えるが「その時々が万事」であると。

若い探偵は気がつけずに去ってゆく。5年10年探偵の飯を食って生きていけば「世間の注目する依頼」の仕事もいくつか経験する。だが、退屈な日常が多すぎて自分を試す「晴れ舞台」の前に殆どの若者は去ってしまう。正直、残念でならない。

ドラマや映画のように「手に汗にぎる緊張の瞬間」は現実の探偵にも実在する。

その依頼が来る日まで日々精進なのだと思う。