処理能力

調査を行う探偵に必要な資質に欠かせない「処理能力」。

現場で得られる情報から必要な情報や有意義な事柄を記憶しとどめ「円滑な調査」の骨組みを構成してゆく。依頼人が求める事柄を理解していれば問題なく「報告が内容の濃い」ものになるはずである。

しかし、調査が行き詰まった時には「方向性の見直し」が求められ、調査のアプローチを変えて結果を求める事も必要になる。例えるならば「最短距離で目的地」を目指していたが工事中通行止め箇所があり「回り道」を余儀なくされる。どの調査項目でも必要になるケースであり「探偵の経験値」が問われる場面でもある。

おのずと「御依頼者にも調査難航」の中間報告とアプローチの変更を告知しなければならない。

右から左の「データ単票」調査と違い探偵自身の総合力が必要になる。代表的な浮気調査にもそんな場面は訪れる。対象者の職業が不明で自宅から調査を実施した場合に「何時から調査を実施するか?」なども「経験がものを言う」場面と言える。前日の調査で夕方に合流し飲食をした後、自宅をつきとめた経緯から「仕事の終わり時間を推測」できる事や「髪型・服装や持ち物」も職業柄のヒントと成り得る。この場合は一般的な出勤時間を想定して「調査を開始」する事が判断として正しい。

もし、この判断に対象者の動きが引っかからない場合は後日改めて「時間帯を変更」が必要になる。これがアプローチを変える行為にあたる。特別な情報がない限り「調査手法の変更」は行われない。御依頼者の要望があり翌日も「同じ時間帯で調査を実施」する場合が希にあるぐらいかと思う。

調査現場で問われる「処理能力」は調査期間や調査費用にも関わりスムーズな調査報告に必要不可欠。経験豊富で誠実な探偵ならば「経験値や判断」に間違いが少なく信用できる存在である。

意外な展開

調査の現場では「思惑に反する」展開に直面する。

調査を実施する探偵や調査員達の経験が問われる瞬間でもある。経験豊富なベテラン探偵ならば「顔色ひとつ変えず」余計な動き無く対処できるが未熟な調査員や探偵には「ぎこちなく不自然」な動きが目立ってしまう。思惑に反し意外な展開に発展する調査の場合に大切な心がけは「冷静な判断と広い視野」といえる。

臨機応変な対処を迅速に行う為には「広い視野」で状況の変化をいち早く察知しなければならない。

現場での調査能力が高い探偵はそうした状況変化や急な展開にも適応できる。簡単にいえば「仕事の懐が広い」ので危うい場面でのリカバー力が高い。

張り込み一つにしても同様の事がいえる。

長時間に渡る張り込みは「周囲の警戒心」に触れやすい。同じ場所で人が長時間滞在すれば誰しも「不信感」が芽生える。その気配を感じ取れない「経験値が低い」探偵はどんな調査現場でも「同じ失敗」を繰り返す。

御依頼を考えている方々に「充分な調査結果」を提供できるスキルの高い探偵や調査員は少数であるといえる。

相続と興信所

 相続を念頭に置いた調査依頼を受件する機会がある。

ある程度の資産を有する一族や、一代で財をなした家族からの依頼が殆どである。裕福な家庭にも抱えている問題がある事に気づかされる。遺産相続に関わる調査や認知された戸籍外の子供の有無とその生活環境などが主な調査内容である。

諸問題が表面化しないための調査といえる。

時に身内同士の探り合いともとれる依頼もある。相続を有利に運ぶため「スキャンダラス」な事柄を欲して調査に着手する。対象人物の素行調査を行い日常を把握し世間的に問題な行動を表面化させる調査である。このような調査は個人の探偵が受件できるレベルを超えた調査内容になる。本当の意味での「調査力」と経験値がなければ調査に着手できない。

興信所の総合力があって実現する調査案件と言える。

 

興信所の調査力

 探偵や興信所の調査力を自負する業者は多い。

依頼人の目線からは「調査力」=「撮影能力」と判断しがちだが、調査人目線だと調査力をかたるうえで重要事は異なる。調査現場を多く経験している人間達は口を揃えて「結果への執着心」と答える。書く言う私自身も同感で撮影能力の差は大きな違いにはならない。

調査を行う調査員が全てだと考える。調査力=調査員の執着心と考える。

普段から「結果に執着」した調査を行う興信所(調査員)であれば間違いなく依頼人を満足させる調査を実施する。撮影能力は2の次3の次と考えるベテラン調査員は多い。

精神論?と思われる方もいらっしゃる事だろう。

現実に良い仕事をする人間達の本音はシンプルといえる。