アナログ探偵だった頃2

 世間をさわがす大事件だけに警察もピリピリしていた矢先だった。対象者が入ったマンションと警察署にはさまれる形で調査を続行するしか方法がなく感覚的に嫌な予感をもって仕事を続けた。

一時間を経過した時に一人の中年男性がこちらにむかって歩いてくる。後方、側面にも中年男性4名に囲まれた。あっと言う間に車輌のドアをすべて塞がれ職務質問をうけた。

こちらの言い分を信じていない様子。

探偵で仕事中にもかかわらず刑事5名に連れられ署内で取り調べを受ける事になった。

職業柄刑事さんと話す機会があったため楽しい談笑の取り調べになって無罪放免で警察を出たときにはすでに対象車両は無く、探偵事務所の所長に大目玉をくらってしまった。

映画や小説のような場面は過去の記憶にあるが警察官の立ち回りの用意周到さが未だに忘れられない鮮烈な状況だった。