方向性のブレ

 調査の方向性が定まらない案件は無駄が多い。

御依頼人の不安定な心情や思惑が複雑に作用し「調査の方向性」に影響を及ぼす。一言でいって「あれもこれも」は調査の現場において不可能な注文に限りなく近い注文である。

探偵の提案や判断が良くない場合も希に存在するが「依頼人との調整」が出来なければ仕事にならない事は言うまでもない。全てを網羅する能力は全知全能の存在でなければ「不可能」と正直に依頼人に告げ、その上で「現実的な提案」が行えなければならないのである。

どのような業種でも「正直」に「誠実」に業務を遂行して損は無いのである。

言い方を変えるならば「損して得取る」考え方とも言えるのだろう。

効率の良い手法

 現場の調査を長年手掛けていると「有意義な時間帯」を効率よく調査する事の重要性に気がつく事ができる。当然のことながら「依頼人との相談により調整」が重要になり「依頼人の承諾」が無ければ調査に着手出来ない。

例を挙げるならば「調査対象者に関する情報で依頼人が欲している生活時間帯」を無駄なく調査する事が望ましい。

もし、調査対象者が不規則な行動や仕事に追われている人物ならば「妥協点」が必要になるだろう。おのずと御依頼者との相談と調整により「調査の方向性」が決定し納得の行く調査を無駄なく行える事だろう。ここで妥協点を設けなければ「際限なく無駄」が生じ調査員の疲労とモチベーションの低下を招き「調査に悪影響」を及ぼす。依頼人サイドからしても報告書に無駄が多いことが望ましい報告のわけがないのである。

要するに「依頼人との密な打ち合わせ」により「可能か不可能か?」を納得していただき調査範囲を限定する手法が最も効率良く調査を遂行する近道なのである。

精神力

 探偵が行う調査は様々である。

多くの調査は単発的な結果を得て「依頼人に報告」となる。調査結果を得る為に費やす時間と日数がかからない調査であるとも言える。時に依頼人の執念や「感情が依頼の原動力」になっている調査案件はかかる日数や費用に関係なく長期化し「依頼人の気が済む」まで調査が行われる。

調査を行う探偵達の「もてる力全て」をもって調査にあたらなければ完遂しない案件であると共に「依頼人とのコミュニケーション」が重要なポイントとなる。無理をしない調査のガイドラインの取り決めを設定し危険や冒険をしない調査を実施する。

過去に継続的ではあるが2年間にわたり調査を実施した経験がある。

重要な情報に関わる「動き」の有無を判断し調査の「継続」か「打ち切りか」の判断も速やかに行う。無駄に長時間の調査は禁物でありリスクが増える。最重要な結果が出た日などに現場調査を行っていた探偵のプレッシャーがどれ程か想像していただきたい。探偵の仕事とは日々の調査で培われた「精神力」が強大なプレッシャーに勝らなければ「結果」が得られない職業といえる。

主要都市

 探偵の仕事はいつどこに赴くか分からない。

明日、福岡に行って素行調査・午後から静岡に行き浮気調査といった具合である。日本全国や海外に至るまで足を運び「情報を得る仕事」である。現場に出る調査員達は「そのまま宿泊」できる準備と装備を最低限備えて調査現場に行かなければならない。

東京から新幹線で行ける地域には約2時間から半日の移動時間が要求される。羽田から飛行機を利用しても同等か少し時間短縮した移動時間が想定される。経験豊富な探偵は依頼人との段取りの段階で多くの準備を「頭の中で想定」出来る。

経験が浅い探偵は想定が「甘く」判断が悪い。日本全国の主要都市に行くために必要な「所要時間」が頭に入っていなければ「仕事にならない」のである。細かく言えば「御依頼者との相談」もいい加減になりかねない。言いだしたらきりがないが「現地での在来線の運転間隔」も経験値によって知る知らないの差が大きい。現場実施に関係する「移動手段の情報」を経験として身についている探偵はどの都市や地方に赴いても「もてる力を発揮」できる存在である。

プロの仕事

探偵が行うプロの調査に妥協は許されない。

調査を実施し過程で「妥協」が少しでも見える案件は「薄っぺら」に見える。経験上間違い無く「プロ」の仕事とはほど遠い内容となる。尾行や内偵の調査内容に関係なくその傾向は表れ、「そこが依頼人の満足」につながると理解している。簡潔に「これ以上の情報」は不必要なので別の方向性や可能性に着手する。一見、当然の判断に思われるが「落とし穴」なのである。得られる情報はありったけ得る「どん欲な調査」が出来なければ「内容のある報告」にはつながらない。得られた情報を更に精査しとことん判断した結果に「次の可能性」を考えるが「正しい判断」と信じている。

報告書を一度でも作成した経験がある方ならば理解していただけると思う。

報告書の内容には「濃い部分と薄い部分」が出来る。情報が多い部分で情報が少ない部分をカバーし一冊の報告書と成るわけでバランスをとっている。御依頼者目線からは「薄い部分をモット欲しい」となるが探偵に無理は禁物で「ごり押し」の調査で結果を得ても「何倍ものリスク」が帰ってくる。例としては「側面調査のはずが本人に認知」された等の状況。個人的にも御依頼者的にも歓迎されない状況になりうる可能性は避ける。これは妥協では無く「リスク回避」と考える。