調査で危険な偏った考え

個人差は存在するが「物事に対する柔軟な考え方」は年齢と共に出来なくなる傾向が強い。自身の過去の経験や考え方に強い自信を持っている人物ほど柔軟な考え方は出来ないといえる。

探偵は依頼人のニーズに対して「柔軟な姿勢」を常に保って接して行かなければならない職業である。

探偵が御依頼者の「求める調査」を充分に理解し、最適な調査方法を選択し実施されなければ理想的な図式とはならないだろう。調査を受件し実施する過程で「何らかの変更」が必要になる場合も充分に考えられるのである。

このような調査の必要性に応じた変更は「柔軟性」が最も必要になる場面と言えるだろう。

御依頼者の意向を理解していない仕事は無意味である。

多くの無駄が発生し「時間と労力」が無意味に費やされることになる。このような調査は「依頼人の意向」を十分理解していない状況下で発生し、探偵自身の評価を下げる状況に陥る最たる原因である。

一般的に仕事上求められる「ほうれんそう」(報告・連絡・相談)一連の業務が基本的な仕事に反映されていれば何の問題もないと言える。

探偵の偏った考えによる無駄についてお話したが、時として「依頼人の思いこみ」による偏った調査も存在する。

多くの依頼人は「問題を想定し依頼」する事が常識であり、依頼に関わる「情報をもとに調査結果」を欲するのである。このような考え方が基になり探偵が調査を実施したならば殆どの案件は「トラブル」となる。

トラブルとなる一番大きな原因は「依頼人の想定」が外れることである。

探偵が依頼人の「想定を基にした考えによる調査」を実施したならば「偏った思いこみの要素」が調査の基盤になり「現実的な無駄のない調査」とはほど遠い図式で調査が実施され進行してゆく。途中経過を基に探偵が調査手法の修正を提案することも可能だが、探偵が「依頼者の意向だから!」と安易に調査を最後まで進行してしまったならば「待ち受けているものはトラブル」である。

依頼人は「このような結果は無意味だ!」と主張し、探偵は「御依頼者の意向通りの調査を実施した結果!」と双方の主張は平行線をたどることとなる。このような状況は探偵が自ら想定し避けて通らなければならないと著者は考え実行している。

御依頼の際に「調査を実施するにあたり想定されるリスク」を必ずご説明するのである。

リスク説明は他業種で表現すれば「医療現場などでは一般的」と言えるだろう。医師から事前説明のない手術は危険で実施できない事だろう時間を設けて家族や患者に納得してもらい手術を実施している。

探偵自身が依頼人の意向中心の調査を実施した際に「想定されるリスク」を事前説明し、依頼人が熟孝する時間を設けるべきであると。この時間を設ける事は大変有意義であり「依頼人が意図としない無駄」の多くが省かれることとなるばかりか、「この探偵は想定がきく経験豊富な人物」であるとの印象が依頼人に残るのである。

探偵に必要な認識力

御依頼者の極めてプライベートな案件を取り扱う探偵業において「探偵の基礎的な認識力」は極めて重要となる。

依頼人が思い描く「ベストな調査結果」を導き出すために「探偵がチョイスする調査手法」がマッチするかどうか?の場面で「依頼人のオーダーを認識」する力が最も必要になるからである。

依頼人の意向を探偵が「充分に認識できない」状況下で調査を実施した場合に発生する「依頼人からの要望」は調査が進行した段階で増加することは危険である。

如何に経験豊富な探偵であっても「調査前の認識違い」を調査で回復することは困難であり、必ずと言って良いほど「言った言わない」のトラブルに発展する。お互いの認識を契約時に確認し合い「充分な確認」を済ませた上で調査に着手する事がのぞましい。

基本的な事ではあるが何事「コミュニケーション欠如」は負の要素を生み出すきっかけになるので充分注意したい。

的を絞る

 御依頼人が何を欲しているか?

探偵が依頼人から信用を得る上で外せないポイントである。的外れな考えを提案して結果が得られない程、探偵としての評価に関わることはない。どのような方法が一番効率的で現実的に可能性が高いか?自問自答をくりかえし「最良の提案」を依頼人と調整しなければならない。

依頼人の納得がなければトラブルに発展しかねない。当たり前の探偵業務に思えるが理想的な提案が「現場にマッチするか?」は運の要素が多分にあるため100%の自信をもって依頼人に向き合える探偵など存在しない。現実は厳しいのである。

高確率で誰もが石橋を渡るような堅実な可能性にかけるか?

誰もが避けて通る吊り橋を感を頼りに突き進むか?

いずれの判断も依頼人の同意の基に行われる。

依頼人からの信頼

 探偵と依頼人のあいだには「信頼関係」が重要である。

少なくも「調査を頼む」理由や問題を抱え「頼りにして」依頼を探偵にする訳である。依頼を引き受ける「探偵」が依頼人の心情や立場をくみとり「結果を出す姿勢」で調査を実施しなければならない。

ここで、依頼人は「探偵を信頼」しなければ「的を得た調査」が展開されない。探偵も調査過程で得られた情報からの展望や経験からくる「先を見越したアドバイス」が依頼人を安心納得させて「目的を完遂」する。

信頼関係が成立した調査には無駄が無く「依頼人と探偵」のベストな関係性が成立する。

しかし、希にではあるが「依頼人の意向」をくみ取れない探偵業者も存在するので「問い合わせや相談」の段階で「ご自分の意向に沿った調査プランや予算にあった調査方法であるか?」を確認し焦る事無く依頼を考えて頂きたい。「事を焦った調査を実施」すると調査が行き詰まった時や小さなミスから「信頼関係」が壊れトラブルに発展する可能性があるので要注意である。

段取り

 調査の現場において「依頼人との段取り」(打ち合わせ)がしっかりした案件ほど物事がスムーズに進行する。特に「最悪のケース」を想定した調査方針は安定感があり「依頼人に納得のゆく結果」をもたらす。

逆に「最高のケース」を想定した調査は2度手間が多く、調査終了までに掛かる費用と時間が無駄だらけと言える。依頼人の多くは「最高の結果」を求めがちだ。自ずと調査方針も「最高のケース」を想定した手法を選択してしまう。

我々探偵の経験値を信頼していただければ「依頼人との段取り」の時点でベストチョイスを選択できる。最終的に2度手間が無くスムーズなそつない調査進行を現実のものと出来る。