詐欺の手口
悪徳興信所とは
- 相談に行ったら契約を強要された
- 事前の説明よりも高額だった
- 何の説明もなく、勝手に追加料金が発生していた
- 不可解な名目の経費を請求された
- 何の結果も得られずお金だけ取られた
- 高額な解約料をとられた
興信所業界では、かなり以前から消費者トラブルが多いとされてきました。
そのため、探偵業を規制する「探偵業法」が制定されましたが、国民生活センターのデータによれば、寄せられた興信所・探偵に関するトラブル相談件数は毎年1500件以上も発生しています。
相談件数の推移 | |
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年度 | 相談件数 |
2012 | 1,973 |
2013 | 1,710 |
2014 | 3,129 |
2015 | 4,310 |
2016 | 7,680 |
2017 | 1,617(前年同期 7,262) |
※2018年3月31日現在 |
データでは2014年から2016年にかけて数千件レベルで大幅に増加し、その後また数千件減少していますが、これは後述の「探偵を名乗る詐欺業者」の増減が関係していると考えられます。
しかし、それでも決して少ないとは言えない数のトラブル相談が毎年寄せられており、依然として悪徳探偵は存在し続け、根本的な被害は減少していないと言えるでしょう。
ここでは、探偵に相談される方が事前に知識を身に着けられるよう、悪徳探偵の特徴や探偵詐欺の手口について記載してみたいと思います。
悪徳興信所の特徴
- 探偵業届出証明書が掲示されていない。
- 契約時に契約内容や重要事項について説明をしない。
- 依頼者と詳細な取り決めをせずに勝手に調査時間を決めたり、必要以上に長くしている。
- 自社サイトに警視庁など警察関係のバナーリンクを掲載している。
- 相談者のサクラを使用している。
- 公的機関と誤認させるような紛らわしい名称を使用している。
探偵業届出証明書の非掲示
「探偵業届出証明書」は、探偵業を営む際に法律で義務付けられた重要な証明書です。この証明書は、探偵業法に基づいて、業者が適切に届出を行い、法的に認められた事業者であることを証明するものです。具体的には、探偵業届出証明書は、探偵業を営む際に必要な法的な手続きを完了し、適切な届出が行われたことを示すものであり、これがない場合には違法業者として扱われることになります。
探偵業法の規定によれば、探偵業届出証明書は、相談者や依頼者がその業者が合法的に営業を行っているかどうかを確認できるように、事務所内の見やすい場所に掲示することが義務付けられています。この掲示によって、依頼者はその業者が法的に認可された業者であるかどうかを簡単に確認することができます。
もし「探偵業届出証明書」が掲示されていない場合、業者が法的な要件を満たしていない可能性が高く、その業者は違法に探偵業を営んでいると考えられます。違法業者は、信頼性や適法性が保障されておらず、サービスの品質や安全性に問題があるかもしれません。そのため、探偵業者に依頼する際には、必ずこの証明書の掲示状況を確認し、合法的な業者であるかどうかを確かめることが重要です。
このように、探偵業届出証明書は、依頼者の保護や業者の信頼性を確保するための重要な要素ですので、業者の事務所を訪れる際には必ず確認するようにしましょう。
契約内容や重要事項の説明がない
探偵業者と契約を結ぶ際には、契約内容や重要事項についての説明が法的に義務付けられています。この義務は、探偵業法に基づくもので、依頼者が契約する際に知っておくべき重要な情報を十分に説明することが求められています。具体的には、探偵業者は契約書に記載された内容や調査の範囲、費用、調査結果の取り扱い、追加料金の発生の可能性など、契約に関連するすべての重要な事項について、依頼者に対して明確かつ詳細に説明しなければなりません。
契約内容に関する説明には、調査の具体的な内容や方法、調査期間、料金体系、キャンセルポリシー、調査結果の取り扱い、プライバシー保護の措置などが含まれます。これにより、依頼者は契約を結ぶ前に、サービスの内容や費用、リスクを十分に理解し、納得した上で契約を締結することができます。
もし契約内容や重要事項の説明が不十分であったり、まったく説明がなかった場合、その業者は法的な義務を怠っている可能性があります。こうした業者は、契約後に予期しない問題やトラブルが発生する可能性が高く、依頼者の権利が守られない恐れがあります。そのため、探偵業者と契約する際には、必ず契約内容や重要事項についての十分な説明を受け、その内容を理解してから契約を結ぶようにしましょう。また、契約書の内容は必ず記録として残しておくことも重要です。
勝手に調査時間を決める、必要以上に長くする
浮気調査や素行調査を依頼する際、業者が依頼者の意向を無視して勝手に調査時間を設定し、その結果、必要以上に長い調査を行うことがあるため、注意が必要です。具体的には、調査業者が事前に合意した調査時間や調査の目的に対して、必要のない時間帯まで調査を行い、その分の追加費用を請求するという悪質なケースが存在します。例えば、対象者が単に睡眠中である夜中の時間帯や、調査の目的に関連性のない時間まで調査を継続し、その結果、無駄に費用が増えるという問題が発生することがあります。
このような場合、調査業者が調査の必要性や目的を正当化し、調査時間を意図的に延長して費用を増やすことが多く、依頼者が気づかないうちに高額な請求がされる可能性があります。調査を依頼する際には、調査の具体的な時間や範囲、費用に関する詳細な契約内容を事前に確認し、業者と十分に合意しておくことが重要です。
また、契約書には調査時間の設定や追加費用の発生に関する取り決めを明記してもらい、万が一追加費用が発生する場合の条件やその理由についても事前に説明を受けるようにしましょう。信頼できる業者は、依頼者のニーズに応じた適切な調査時間を設定し、不必要な時間の調査を行うことはありません。契約後に不明瞭な請求があった場合は、契約内容を再確認し、必要に応じて法的措置を検討することも考慮するべきです。
自社サイトに警察のバナーを掲載
自社のウェブサイトに警察関係のバナー画像を掲載する探偵社が存在します。例えば、警視庁やその他の警察機関のロゴやバナーをサイト上に表示することで、自社の信頼性や信用を高めようとする試みです。しかし、この行為には重大な問題があります。実際、警察はそのようなバナー画像の掲載を明確に禁止しています。これは、警察のロゴやバナーが無断で使用されると、警察の信用や権威を不正に利用し、一般の人々に誤解を招く可能性があるためです。
警察関係のバナーを無断で掲載することは、警察機関のブランドイメージや信頼性を損なう恐れがあります。また、こうした行為は法的にも問題視される可能性があり、著作権や商標権の侵害として扱われることがあります。警察から正式な許可を得ることなく、これらのバナーを使用することは、探偵社の業務の信頼性や誠実性に疑問を持たれる原因となり得ます。
そのため、ウェブサイトや広告において警察関係のバナーやロゴを使用している業者に対しては、慎重に確認する必要があります。正規の許可を得ていないバナーやロゴの掲載は、法的に問題があるだけでなく、業者の信頼性や倫理性に疑問を持つきっかけとなるでしょう。探偵社の選定においては、そのような不正な広告手法を避けるために、業者の信頼性や業務の透明性を十分に調査し、正当な手法で運営されているかどうかを確認することが重要です。
相談者にサクラ使用
面談時に相談者が順番待ちをしているのを見かける場合、これは自社に依頼する人が多いかのように見せかけるために、サクラを使用している可能性が非常に高いです。つまり、実際には依頼者が少ないにも関わらず、あたかも多くの人がこの探偵社を利用しているかのように見せるための策略です。これにより、信頼性が高い、人気のある業者であるという印象を与え、潜在的な顧客を引き寄せようとしているのです。
このような行為は、業者の信用を偽装し、実際にはサービスの質や信頼性を示すものではありません。通常、探偵事務所は事前に面談の予約を行うため、面談時に順番待ちが発生することはほとんどありません。予約システムやカレンダーを用いて、スムーズに面談を行うのが一般的です。したがって、順番待ちが発生する状況は、業者がサクラを使っている可能性が高いことを示唆しています。
サクラを用いることにより、業者は自社の評判を不正に高め、実際のサービスや顧客対応とは異なる印象を与えようとしているのです。このような手法は、顧客に対して不誠実であり、サービスの信頼性や業者の信頼性に対する疑問を招くものです。探偵事務所を選ぶ際には、こうした不正行為が行われていないかどうかを慎重に確認し、正当で信頼できる業者を選ぶことが重要です。
公的機関と誤認させる名称の使用
一部の業者は、名称に「○○センター」などを使用し、消費者センターなどの公的機関と誤認させるような名前を用いることがあります。これにより、消費者に対して公的な機関であるかのような印象を与え、信頼性を高めようとする意図があります。例えば、「消費者トラブル解決センター」や「公正調査センター」などの名称を掲げることで、消費者が公的機関のサポートを受けているかのような錯覚を生むのです。
しかし、これらの業者は表向きに消費者トラブル解決を謳っていながら、実際にはその目的が消費者の信頼を利用して新たな消費者トラブルを引き起こすことにあります。誤認を招くような名称を用いることで、消費者からの信頼を不正に得ようとし、その結果、二次被害や追加のトラブルを引き起こす原因となるのです。
このような業者は、消費者に対して正当なサービスやサポートを提供せず、むしろ消費者を騙すことで利益を上げようとします。公的機関に似た名称を使用することで、消費者の不安や信頼感を利用し、自らのビジネスを正当化しようとするのです。これにより、消費者が真実の情報を得ることが難しくなり、結果的に不当な料金請求や不十分なサービス提供などの問題に直面することになります。
このような状況を避けるためには、業者の名称や提供されているサービスの内容を慎重に確認し、公的機関ではないことを明確にする必要があります。信頼できる業者を選ぶためには、名称だけでなく、その業者の実績や評判、契約内容などを十分に調査し、判断することが重要です。
興信所による詐欺
同業者として非常に残念なことですが「詐欺探偵」「詐欺まがいの探偵」というのは実在します。
債権回収を謳い、前金で料金を受け取るだけ受け取って一切何もしなかった、という詐欺行為で実際に詐欺罪で逮捕された探偵業者の例があります。
他にも詐欺まがいの手口を用いる探偵業者が存在し、表に出ていないだけ、という状況です。
興信所による主な詐欺行為の手口
- 着手金詐欺
- やらずぼったくり
- 調査人員の水増し
- 架空の経費計上
着手金詐欺
着手金詐欺とは「着手金+成功報酬」の形式で調査契約をし、着手金だけ受け取って何の調査もしない、という手口です。
「着手金+成功報酬」は人探し系調査や情報収集系調査においてみられる契約であり、着手金には「調査員の実働(のための費用)」という性質があります。(預り金ではありません)
つまり、実働すべきところを一切何もせずに、結果も得られなかったとして最初から着手金だけを利益とする手法です。
肝心の成功報酬額よりも着手金のほうが数十万高いなど、不自然に高い場合は疑ったほうが良いです。
やらずぼったくり
「やらずぼったくり」とは、調査料金だけ前金で受け取り調査を一切しない(結果が得られなかった、などとする)という詐欺です。
着手金詐欺と手口は似ており、調査報告書が無い、具体的な調査の内容が全く書かれていない等の傾向があります。上述のように実際に逮捕された業者がいます。
調査人員の水増し
尾行調査の契約は調査員の人数で料金が変動し、基本的に調査員を多く使えば使うほど料金が高くなります。
特殊なケースを除いて、一般的に尾行は調査員2~3名で行われています。
調査人員の水増しとは、実際に尾行している調査員が2~3名であるにもかかわらず「うちでは調査員は6人使っています」などと言い、その分高く料金を取ることです。
常時4人以上調査員を使用している探偵事務所・興信所の場合はこの水増しを警戒された方が宜しいでしょう。
架空の経費計上
これは調査でかかった経費に架空の経費を計上して請求することです。
例えば「対象者が退勤する時間を連絡してもらうために、内部の人物の買収に費用がかかった」等のケースがあります。
このように、探偵から見てあり得ない手法を使っている場合は架空の経費だとわかりますが、依頼者や外部からはわかりにくいケースもあるかもしれません。
興信所を騙る振り込め詐欺
- 投資詐欺被害金の回収
- アダルトサイトとのトラブル解決
- 身辺調査での不利益な事実の黙認
上記のような理由を用いて金銭を要求する電話・はがき・メールが突然届くという被害があります。
これらは○○探偵事務所、○○興信所、○○リサーチなどの名称を名乗る業者により行われていますが、この手口は全て探偵ではない別の詐欺業者によるものです。
まともな探偵・興信所なら、突然電話・はがき・メール等で営業をかけるという行為は絶対に行いません。