リベンジポルノ対策
目次
ネット誹謗中傷・著作権侵害・リベンジポルノ削除請求
ネット上での「誹謗中傷」や「リベンジポルノ」、「著作権侵害」といった被害に直面した場合、どのように対策を講じるべきかに関しては、多くの人が悩むところです。特に、インターネット上の情報は広範囲に拡散しやすく、一度公開されると削除するのが難しい場合もあります。そのため、適切な対策を講じることが重要です。
一つの有効な対策方法として、「プロバイダ責任制限法」に基づく手続きが挙げられます。この法律に基づいて、ネット上での誹謗中傷や著作権侵害に対して具体的なアクションを取ることが可能です。具体的には、「送信防止措置手続」と「発信者情報開示請求」という手続きを行うことができます。
「送信防止措置手続」は、インターネット上に掲載された不正な情報や違法コンテンツの削除を求める手続きです。例えば、誹謗中傷やリベンジポルノといったコンテンツがネット上に公開されている場合、その情報を掲載しているプロバイダに対して削除を要求する手続きを行うことができます。この手続きは、プロバイダが掲載されているコンテンツに対して責任を負うことを求めるもので、迅速に問題を解決するための手段となります。
「発信者情報開示請求」は、発信者の身元情報を開示するように求める手続きです。この手続きを利用することで、ネット上で誹謗中傷や著作権侵害を行っている人物の情報を特定することができます。発信者情報を明らかにすることで、法的措置を講じる際の重要な証拠を得ることが可能になります。具体的には、発信者の氏名や住所、連絡先などの情報を取得し、さらなる対応を進めることができます。
当社も、著作権侵害に関連する問題について経験があります。特に、当社が運営するウェブサイトのテキストが無断でコピーされるといったケースがありました。このような場合、削除要請に応じない、あるいは連絡を無視するなどの悪質な対応が見られることがあります。そのため、プロバイダ責任制限法に基づく手続きを利用して、迅速に対応を進めることが必要です。これにより、違法コンテンツの削除や発信者情報の開示を求めることができ、問題の解決に向けた適切な措置を講じることが可能となります。
ネット上での誹謗中傷や著作権侵害、リベンジポルノといった被害に遭遇した場合には、まずは法律に基づく正当な手続きを行うことが重要です。これにより、問題の解決に向けた確実なステップを踏むことができ、被害を最小限に抑えることができます。専門家に相談しながら、適切な対応を進めることが望ましいでしょう。
プロバイダ責任制限法とは
そもそも「プロバイダ責任制限法」とは、ウェブサービスの利用者が起こした誹謗中傷・リベンジポルノなどの民事トラブルについて、
- プロバイダの損害賠償責任を制限(責任を問わない)
- 被害者がプロバイダに対して加害者の情報開示等を請求する権利
を定めた法律となります。
(趣旨)
第一条 この法律は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利につき定めるものとする。
損害賠償責任は逃れるとしても、プロバイダにはウェブサービスにおける管理責任がありますので、誹謗中傷や著作権侵害、リベンジポルノの被害者が必要な対策を行うためにプロバイダに対して削除請求や個人情報開示等の手続きを行えるようになっているのです。
「プロバイダ」の定義
「プロバイダ」という用語は、一般的にはインターネットを利用する際に契約するインターネットサービスプロバイダ(ISP)を指します。これにより、ユーザーはインターネットへの接続が提供され、ウェブサイトの閲覧やメールの送受信、オンラインサービスの利用が可能となります。しかし、法律においては「プロバイダ」という言葉の定義はさらに広範囲であり、単なるインターネット接続サービス提供者にとどまらないことがあります。
具体的には、プロバイダ責任制限法に基づく手続きにおいて「プロバイダ」という用語は、インターネット上で情報を提供する全ての運営者を含むとされています。これには以下のような者が含まれます:
- インターネットサービスプロバイダ(ISP)
一般的に、インターネット接続サービスを提供する企業がこれに該当します。ユーザーに対してインターネット接続を提供し、インターネット利用をサポートする役割を担っています。たとえば、NTTコミュニケーションズやKDDI、ソフトバンクなどが代表的な例です。 - 匿名掲示板の運営会社
インターネット上で匿名で投稿できる掲示板を運営する会社もプロバイダに含まれます。たとえば、2ちゃんねる(現在の5ちゃんねる)や、そのほかの匿名掲示板サイトの運営会社がこれに該当します。 - SNS・ブログの運営会社
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)やブログのプラットフォームを運営する企業もプロバイダと見なされます。これには、Facebook、Twitter、Instagram、そしてアメーバブログなどの運営会社が含まれます。これらのプラットフォームはユーザーがコンテンツを投稿し、共有するための場を提供しています。 - ウェブサイトのレンタルサーバの運営会社
ウェブサイトを運営するために必要なレンタルサーバーの提供者もプロバイダに含まれます。レンタルサーバーを提供する企業は、ユーザーがウェブサイトを運営するためのサーバー環境を提供し、ウェブサイトのデータを保存します。たとえば、エックスサーバーやさくらインターネットなどがこれに該当します。
つまり、ネット上で情報が公開されるウェブサービスの運営会社であれば、ほとんどすべてが「プロバイダ」として定義されます。例えば、Yahoo! JAPANの場合はヤフー株式会社、アメーバブログの場合は株式会社サイバーエージェントなど、各サービスの運営会社が該当するのです。
このように、プロバイダはインターネット上で情報を提供する様々な運営者を含む広い概念であり、誹謗中傷や著作権侵害、リベンジポルノといった問題に対処するためには、これらのプロバイダに対して適切な手続きを行う必要があります。したがって、ネット上で問題が発生した際には、関係するプロバイダに対して正しい手続きを踏むことで、迅速かつ効果的な対応が可能となります。
送信防止措置手続
「送信防止措置手続」とは、利用者によってウェブサービス上に掲載された情報(テキスト・画像・動画等)が誹謗中傷や著作権法違反、リベンジポルノに該当する場合、その情報をプロバイダが削除もしくは非公開の措置をすることを請求する手続です。
流れとしては、被害者がプロバイダに送信防止措置申立の文書を送り、プロバイダが文書を受け取った後、プロバイダが自主的に削除対応を行うかの判断をします。
プロバイダが自主的対応を行わないと判断した場合は加害者に案件の照会手続が行われ、7日以内(リベンジポルノは2日以内)に加害者が非を認めるか、もしくは連絡が無い場合は、削除の措置がとられます。
もちろん発信者(加害者)が素直に非を認めない場合、もしくは正当性を主張するなど反論が行われる場合もあり、その場合は訴訟で争うことになります。
発信者情報開示請求
発信者情報開示請求とは
「発信者情報開示請求」とは、誹謗中傷や著作権侵害等の加害者を特定する情報をプロバイダに対して開示するように請求する手続です。
ネット上の情報の削除請求だけなら通常は前述の送信防止措置手続だけで十分なため、こちらは主に加害者に対する損害賠償請求訴訟等を前提とした手続きとなります。
匿名の相手に対して損害賠償請求はできませんから、プロバイダに対して加害者を特定する個人情報(氏名・住所など)を開示してもらう必要があるからです。
※余談ですが、この「発信者情報開示請求」という言葉がワンクリック詐欺・架空請求詐欺に使われていたことがありましたが、もちろん本来の趣旨とは異なって使用されており、相手方に正当な請求権などはありません。
裁判所への仮処分申請
発信者情報開示請求の場合、まず裁判所を通した「発信者情報開示の仮処分申請」を行うのが通例となっています。
※参考:保全事件の申し立て|裁判所
※注:匿名掲示板でのケースの流れ
- 裁判所でプロバイダに対する発信者情報開示の仮処分申請
- IPアドレスから使用契約しているISPがわかる
- 裁判所でISPに対する発信者情報(ログ)消去禁止の仮処分申請
- ISPに対して発信者情報(契約者)開示訴訟
- 契約者に対して損害賠償請求等の訴訟
掲示板などで匿名での書き込みや登録利用が可能な場合、運営側が個人を特定する情報(契約情報等)を保持していないケースがあるため、書き込みが行われた際の「IPアドレス」情報を開示してもらうことになります。
IPアドレスだけでは通常は個人を特定できませんが、書き込み者が利用しているISP(インターネットサービスプロバイダ)がわかるため、ISPから提供される契約者情報によって個人を特定することが可能となります。
※掲示板によっては最初から書き込み者のIPアドレスが表示される場合もあります。
※ISPは「Whois検索」が可能なサイトでIPアドレスを入力すればわかります。
但し、IPアドレスの情報は書き込みから3ヶ月程度しか保存されていないため、それより前の書き込み者の特定は不可能です。
また、ISP側が保持している情報(ログ)も3ヶ月~6ヶ月程度しか保存されないため、手続き中に消されてしまわないためには「発信者情報消去禁止の仮処分申請」を行う必要もあります。
発信者情報消去禁止の仮処分申請をした後、ISPに対しては「発信者情報開示訴訟」を行うこととなります。
まとめ
証拠保存と申請フォームでの手続
いずれの手続きも通常は文書を作成してプロバイダに送付する必要があります。
また、文書の他に「証拠」とするために誹謗中傷や著作権侵害が行われた内容をコピーで印刷したり、キャプチャー画像やスクリーンショット、魚拓等で保存しておいた方が宜しいです。
※プロバイダ責任制限法関連情報ウェブサイトで関連情報や書式の詳細を確認することができます。
但し、プロバイダによってネット上に申請フォームを用意しているケースがあり、案件の内容次第ではネット上だけでの対応が可能な場合もあります。
原則としてブログサービスや掲示板などの書き込み内容は、基本的に利用者ではなく運営会社に著作権がありますので、迅速な対応が期待できるケースも少なくありません。
グーグルやツイッター、Facebook 、5ch 、FC2 など外国法人の場合
外国法人であるグーグル社やツイッター社、5ちゃんねる、FC2 などプロバイダが外国法人の場合の裁判所の管轄は「東京地方裁判所」になります。
民事訴訟法第3条の3(契約上の債務に関する訴え等の管轄権)
次の各号に掲げる訴えは、それぞれ当該各号に定めるときは、日本の裁判所に提起することができる。
五 日本において事業を行う者(日本において取引を継続してする外国会社(会社法(平成17年法律第86号)第2条第二号に規定する外国会社をいう。)を含む。)に対する訴え 当該訴えがその者の日本における業務に関するものであるとき。
また、誹謗中傷や著作権侵害、リベンジポルノ被害があった場合に以下のフォームから申請することができます。
例えば、著作権侵害をされた場合、グーグル社に対して該当ページを検索結果から削除するように要請することができます。
※リベンジポルノ防止法もご参考下さい。