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興信所とはどういう会社?
「興信所」とは、依頼者から依頼を受けて調査業務を行う調査会社のことです。
「探偵」という言葉を知っている人なら、思い浮かべるのは「探偵事務所」という人が多いのではないでしょうか。
この探偵や探偵事務所に近い調査業として「興信所」というものがあるわけですが、小説やドラマの登場頻度から言っても「探偵」という言葉の方がポピュラーなのは確かでしょう。
そもそも「興信所って何?」という方も多くいらっしゃるかもしれませんね。

興信所について多少なりともご存じの方であれば、「結婚調査」や「信用調査」などで対象者にまつわる情報を聞き込み等で集め、それらを報告する仕事のイメージをお持ちかもしれません。
しかし、それは少々古い時代の興信所のイメージであり、現在では「浮気調査」や「素行調査」などの尾行・張り込みを用いる調査も行われ、むしろ浮気調査は現在の多くの興信所の依頼の主力となっていると言っても良い状況です。
例えば、興信所は聞き込み調査専門だから尾行・張り込みを使う仕事は得意ではない、なんてこともありません。
興信所と探偵の違い
業界事情についてご存じない多くの方たちにとっては、興信所と探偵は具体的に何が違うの?という疑問をお持ちになるかもしれません。
結論から言いますと、前述のように業務上では現在の「探偵」と「興信所」に大きな違いはありませんが、法律面で少々の違いが見られるので記載してみたいと思います。
「探偵業法」
第二条(定義)
この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を興信所の依頼者に報告する業務をいう。
探偵業法は平成18年に探偵業について定められた法律であり、興信所という言葉はこの法律の条文には見られず、明確に尾行・張り込みを業務として行って良いと考えられるのは「探偵」だけということになります。
つまり、興信所と名乗るにしても、尾行・張り込みを仕事として行うには興信所も探偵業法による探偵業の届出をする必要があるということになります。
「興信所業者が講ずべき個人情報保護のための措置の特例に関する指針」
一方、興信所については、個人情報保護法の施行にあたり興信所業者に対して定められた指針(ガイドライン)があります。
これは主に個人情報の取り扱いに関するガイドラインですが、興信所業者とその業務についての定義の記載が見られます。
ア 調査業務
他人(個人である者に限る。以下同じ。)の生命、身体、財産その他の権利利益の保護のために必要な人の所在又は行動に関する事項について、当該他人の需要に応じて調査し、その結果を当該他人に報告する業務イ 興信所業
調査業務を行う営業ウ 興信所業者
興信所業を営む者
このガイドラインでは浮気調査について触れられている部分があり、所在や行動に関する調査は興信所だけでなく探偵の主業務でもありますので、興信所と名乗る業者だけに適用されるものとは言えません。
興信所と探偵に違いはない
これらのように法律面では「探偵」と「興信所」という言葉の使い分けが見られますが、業務上では探偵と興信所に大きな違いはありません。
仮に調査を依頼することになった時「一体どちらに依頼すれば良いのか?」と迷う必要はなく、探偵業の届出さえしていればどちらを選んでも良いということになります。
興信所と探偵事務所の歴史
今から110年以上前の1892年(明治25年)に日本銀行と財閥系大手銀行の共同出資により設立されたのが国内初の「興信所」とされています。
当初、興信所は企業調査ばかりでは無く、人事調査や身辺調査といった個人調査も請負っていました。
それを個人や少人数で請け負い始めたのが「探偵事務所」の発足となったといわれています。
昭和初期には探偵が活躍する小説や漫画がブームとなり、探偵が脚光を浴びるものの実際には窃盗事件や殺人事件等に関与する事は全くというほど無く、フィクションとして偶像化され事実とは異なっていました。
昭和中期頃まで、興信所は企業調査や個人の人事、採用調査、縁談、結婚調査が主体で、探偵事務所や探偵社が浮気や不倫等の素行調査、家出や行方不明者の所在調査が主体として活動していました。
しかし、現在では興信所でも浮気調査や人探しをしたり、探偵事務所でも企業調査をしたりと区別がなくなり、得手不得手や規模の違いはありますが、一般的に調査業者や調査会社として一括りにされているのが現状で、平成19年6月より法整備され探偵業法が施行されています。
※下記ページもご参考下さい。