不倫や不貞行為の定義はあいまいなので「どこからが不倫なの?」と悩む方もいると思います。
夫婦の一方が不倫だと認識していないような行為でも、もう一方が嫌な思いをしている場合にはトラブルに発展することもあります。しかし、感情的に許せないような行為であっても法律的に不倫と認められないというケースは意外と多いものです。
ここでは、不倫とはどこからなのか、その定義や証拠集めのポイントをご紹介いたします。
そもそも不倫ってどこから? その定義とは?
配偶者の不倫に悩む場合には、相手が不倫していることを証明することが重要です。
法的には、肉体関係があることが不倫の条件ということになります。では、以下のような場合には不倫であると認められるのでしょうか?
1. 異性と話をする、メールをする
配偶者が異性とメールやLINEで頻繁にやり取りをしたり、電話で会話をしたり、外で会って話をすることが浮気に該当するかどうかは、状況やその内容次第で判断が分かれるところかもしれません。一般的には、単に異性と会話をする、メールをやり取りするという行為自体が即座に浮気や不倫とみなされることは少ないでしょう。例えば、仕事の同僚や友人、昔からの知り合いといった異性と定期的に連絡を取り合っている場合、それが純粋にプライベートな交流やビジネス上のやり取りである可能性も高いため、そこに恋愛感情や性的な意図がない限り、不倫とは判断されにくいと考えられます。
しかし、こうした異性とのやり取りの内容が、配偶者の知らないうちに親密なものになっていくと、疑念が生じやすくなります。たとえば、メールやLINEのやり取りが日常的な雑談を超えたものであり、相手との関係が特別なものに発展している場合、または外で会う頻度が増えたり、プライベートな時間を共有するような状況が続けば、その関係が浮気や不倫に発展する可能性が高まります。こういった場合には、配偶者が不快感を覚えることも多く、「精神的な浮気」として捉えられることがあります。
さらに、もし異性とのやり取りの中で、性行為を匂わせるような内容のメールやメッセージが含まれていた場合、状況はさらに複雑になります。たとえ実際に性行為が行われていなくても、そのようなメッセージがやり取りされていること自体が、配偶者にとっては大きな裏切りと感じられることが多いでしょう。しかし、法律上の観点から見ると、こういった性的な暗示や性的な内容を含むメッセージのやり取りだけでは、法的に不倫とみなされることは少ないのが現状です。性行為があったことを示す明確な証拠がなければ、不倫の証拠として認定されるのは非常に難しいとされており、このようなメッセージのやり取りがあったとしても、証拠としては非常に弱いというのが一般的な見方です。
そのため、異性との単なる会話やメールのやり取りがどの程度の関係性を示すのか、どこからが浮気や不倫とみなされるのかというのは、個々のケースによって異なります。
2. 異性と食事をする、デートに行く
配偶者以外の異性と2人で食事に行ったり、デートに出かけたりすることは、日常生活の中でしばしば起こり得ることです。特に、仕事の関係で同僚や取引先の人とランチを共にすることや、趣味の仲間と一緒に外出する機会があるなど、異性と2人きりで過ごす状況は決して珍しいことではありません。そのため、こうした行為自体が直ちに「不倫」に該当するわけではありません。
確かに、多くの人にとって、配偶者が自分以外の異性と2人で食事に行ったり、親密な時間を過ごすことに対して、強い不安や不快感を覚えるのは自然な反応でしょう。特に、2人での食事やデートが頻繁に繰り返される場合、配偶者がその相手に特別な感情を抱いているのではないか、あるいは関係が深まっているのではないかという疑念を持つことが多いです。こうした状況は、夫婦関係に緊張感をもたらし、時には深刻な衝突に発展することもあります。
しかし、法的な観点から見た場合、単に異性と2人で食事やデートに行ったという事実だけでは、不倫と認定されることはありません。法的に不倫が認められるためには、一般的には配偶者以外の異性と肉体関係を持っていることが必要とされており、単なる外出やデートではその要件を満たさないのです。つまり、異性との食事やデートがどれほど親密であっても、それが肉体関係に至らなければ、法律的には不倫とはみなされません。
とはいえ、配偶者が異性と頻繁にデートに出かける状況が続けば、たとえ肉体関係がなかったとしても、精神的な浮気と見なされることがあるでしょう。精神的な浮気は、肉体的な関係がないにもかかわらず、心の結びつきが強まりすぎた結果、パートナーに対して感情的な裏切りを感じさせるものです。配偶者が他の異性に過度に関心を寄せ、その結果として夫婦間の信頼関係が損なわれるような場合には、心理的なダメージを受ける可能性が高く、その問題は夫婦間で解決するべき重大な問題として扱われるでしょう。
最終的に、異性との食事やデートが不倫に当たるかどうかは、状況によって異なり、法的な枠組みの中では単なる外出が不倫とみなされないことが一般的です。しかし、個々の夫婦関係においては、配偶者の行動がどのように受け取られるかが重要であり、信頼関係の維持が不可欠となります。
3. 合コンや婚活パーティーに参加する
合コンや婚活パーティーは、異性との出会いの場として広く認識されており、参加者は新しい友人や恋愛のチャンスを求めて集まります。こういった場は、異性との交流を目的としており、参加者同士が積極的に会話を楽しんだり、食事や飲み物を共にすることが一般的です。しかし、こうした合コンや婚活パーティーに参加すること自体が、法的に不倫と認められることは基本的にありません。
たとえ、合コンや婚活パーティーに参加する目的が、新しい異性との出会いや恋愛の可能性を期待したものであったとしても、パーティーの場で行われるのは、主に会話や食事といった社交的な活動に過ぎません。こうした行為は、異性と出会って楽しい時間を過ごす場面であっても、肉体的な関係や不貞行為には該当しません。そのため、たとえ配偶者が合コンや婚活パーティーに参加していたとしても、それだけでは不倫として法的に追及されることはありません。
もちろん、多くの人にとって、配偶者が婚活パーティーや合コンに参加すること自体が、夫婦関係において不信感や不安を抱かせる要因となり得ます。既婚者がこういった出会いの場に参加することは、配偶者の気持ちを傷つけたり、関係に緊張をもたらす可能性があります。それでも、法律上では、ただ単に婚活パーティーに参加したり、合コンに行ったりするだけでは、実際に不貞行為が行われたという証拠にはならないため、不倫の認定は難しいのが現実です。
それに加えて、婚活パーティーや合コンは、あくまで社交的な場であり、異性と会話を楽しむことが主な目的となります。このような場での交流は、友人関係を広げる目的でも利用されることがあり、全ての参加者が恋愛や性的な関係を求めているわけではありません。そのため、たとえ合コンや婚活パーティーで異性と会話を交わし、楽しい時間を過ごしたとしても、具体的な不貞行為がない限り、それが法的に問題視されることはまずないといえます。
結論として、合コンや婚活パーティーに参加することは、不倫の証拠として認められることはなく、ただ異性と交流すること自体が不貞行為とはみなされません。ただし、夫婦関係においては、こうした行為が信頼を損なう可能性があるため、互いの気持ちや価値観を尊重することが重要です。
4. キスをする
結婚している人が配偶者以外の異性とキスをするというのは、誰がどう見ても不倫ということになりそうです。
しかし、法的に不倫と認められているのはあくまで肉体関係のみということになります。キスは肉体関係に入らないと定義されているため、キスをしただけで不貞が認められることはないのです。
もちろん、異性とキスをするのは一般的な考え方ではないため、多くの人にとっては許しがたいことだと思います。感情として納得できないとはいえ、キスの事実が離婚に有利な証拠となることはまずないので、十分注意しましょう。
5. 異性の家に泊まる
配偶者の知らないところで異性と宿泊をするだけでも、不倫として十分に認められます。こういった場合、不倫をした側は「おしゃべりや悩み相談をしただけ」「お酒を飲んで寝てしまっただけ」と言い訳をするものですが、こういった言い訳は通りません。
異性と2人でホテルやマンションに立ち入る写真が不倫の証拠として採用されるのには、宿泊だけでも不倫関係が認められるという考え方によるものです。
6. 肉体関係をもつ
配偶者以外の異性と性的な関係をもったときには、法的に不倫だと認められます。
性行為中の写真や動画を撮影するようなカップルであれば確実な証拠が手に入りますが、そうでない場合には肉体関係を証明するのは難しいかもしれません。しかし、ほとんど性行為をしていたと間違いない場合や、擬似的な性行為をしたと考えられる場合にも不倫と判断できるのです。
配偶者が別の異性と性的関係をもったことが原因で夫婦関係の破綻が起きたというときには、離婚請求や慰謝料請求ができることもあります。
不倫にあたるケースと不倫にならないケース
中には、イレギュラーな事態が原因で夫婦関係に亀裂が入ることもあります。以下のような場合には不倫とみなされるのでしょうか?
1. 風俗店に行く
夫が風俗店に行ったという場合に不倫と判断できるか悩んでしまう女性もいるかもしれません。
風俗店は法律上、本番行為が禁止されていますが、性的なサービスを提供するお店なので本番行為に近い行為まではおこなうことになります。とはいえ、1回だけ風俗に行ったという程度であれば、不倫や不貞行為と認められないことがほとんどです。
ただし、風俗通いが治らないなど夫婦関係を続けられない状況になった場合には、離婚請求などの対処が可能となります。
2. 同性との不倫がおこなわれる可能性も
配偶者の浮気相手が同性というケースもあります。しかし、不倫の定義は「異性間の性行為」なので、同性の場合にはたとえ性行為がおこなわれていても法律上は不倫と認められないのです。
とはいえ、同性との不倫であっても夫婦関係に影響が出た場合には、証拠を集めて対処することが可能です。同性との不倫が「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたると判断された場合には、離婚請求だけでなく慰謝料請求が可能となることもあります。
3. 無理やりの性行為
相手に無理やり性行為に持ち込まれたり、脅迫されて性行為をしたりするケースも考えられます。
どういった場合であっても、配偶者以外の異性との肉体関係であれば不倫とみなされると考える方もいるかもしれません。しかし、無理やりの行為は自由意志に基づいたものではないため、不倫として認定されることはないのです。
被害者になった場合には、誰かに相談したり警察に通報したりと対処しましょう。ただし、無理やり関係を迫ったり脅迫したりした加害者側であれば、それは不貞行為にあたりますし、通報した場合には犯罪として立証されることになります。
配偶者の不倫が疑われるときに問い詰めるのはNG!
配偶者が不倫していると感じる場合には、つい相手を問い詰めたくなると思います。
しかし、十分な証拠がない状態で相手に詰め寄ると、逆ギレされたり水面下でバレないように不倫を続けられたりと、自分にとって不利な状況に陥ることがあります。もしも相手が不倫をしていなかった場合、不倫を疑われたことによるショックがきっかけで夫婦関係が破綻してしまう可能性もあるかもしれません。
不倫かもと感じたときに相手を問い詰めてもいいことはありません。配偶者が怪しいと感じたときには、相手に悟られないよう気をつけながら証拠集めをしていきましょう。
不倫を証明するための有効な方法とは?
ご紹介したとおり、相手の不倫を証明するためには肉体関係の有無を確認する必要があります。しかし、配偶者が異性と肉体関係を持っていることを1人で証明するのは至難の業です。
不倫の証拠集めは、興信所に依頼してプロに任せるのが最適です。さまざまな不倫の調査を担当してきたプロの調査員であれば、状況に合わせて的確な証拠を見つけ出し、調査報告書としてまとめてくれるので安心です。
不倫がどこからかという考え方は人によって違いますが、法律的には肉体関係が認められなければ不倫として立証することは難しいものです。ただし、メール文面の写真や密会の証拠、キスの写真なども、ないよりはあるほうが有利になります。
より多くの証拠を集めたいのであれば、不倫調査のノウハウをもつ興信所に調査を依頼してみるとよいでしょう。
浮気調査