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モラハラ(モラル・ハラスメント)の深刻な影響と対処法
モラハラ(モラル・ハラスメント)は、職場や家庭・学校など私たちの生活のさまざまな場所で発生し、人々の心理的な健康や社会関係に深刻な影響を与える問題です。この記事ではモラハラの種類、日本におけるモラハラの現状、被害者に及ぼす影響、モラハラを見分ける方法、対処法について説明します。モラハラは個人の尊厳を傷つけるだけでなく、社会全体にも長期的な影響を与えるため、より深く理解し対応することが重要といえます。

モラハラとは精神的な虐待や嫌がらせを指し、職場、家庭、学校など、私たちの日常生活において発生する可能性があります。モラハラという用語は、フランスの精神科医マリー=フランス・イルゴイエンヌによって提唱され、1998年の著書『モラルハラスメント』の出版を通じて広まりました​​。現在はその深刻な影響を社会が認識し、対応を模索している段階にあります。

モラハラにおいて加害者は被害者を精神的に支配しようとし、被害者は加害者からの攻撃によって自己価値を疑い、罪悪感を感じやすくなるという特徴があります。この記事ではモラハラ問題に対する理解を深め、よりよい対応策を模索することを目的とし、モラハラの種類、個人と社会に与える影響、その特徴と対処法について解説します。

モラハラの現状と種類

モラハラは職場、家庭、学校などさまざまな場面で発生しています。この行為は個人の尊厳を傷つけ、深刻な心理的影響を及ぼすため、社会問題として認識されるようになっています。

モラハラの種類と具体例

モラハラにはいくつかのパターンがあります。例えば職場では上司が部下に対し、無理な要求をしたり、過度な批判を行ったりすることがあります。家庭内ではパートナーや親が相手を見下したり、侮辱的な言動を取ったりするケースが見られます。学校では、教師や生徒同士による威圧的な態度や言葉の暴力がモラハラに該当します。

日本におけるモラハラ

日本におけるモラハラに関する統計データは、この問題の深刻さを浮き彫りにしています。調査によると、全体の65.8%が過去に「ハラスメントを感じた経験あり」と回答しており、直近1年では51.9%となっています。ハラスメントを感じた経験の年代別では、30代と40代が8割を超えています。

このような状況に対し、多くの企業や教育機関がハラスメント防止策を講じていますが、完全に問題が解消されているわけではありません。相談窓口の設置や研修の実施は一定の効果を上げていますが、根本的な解決には至っていない現実があります。

Job総研 「2023年 ハラスメント実態調査」

https://job-q.me/articles/14900

モラハラの影響

モラハラは、被害者に多面的な影響を与えます。また、社会に対する長期的な影響も無視できません。

被害者に及ぼす心理的・身体的影響

モラハラは被害者の心理的健康に、大きく影響を及ぼします。常に否定的な言葉や行動にさらされることで、自己評価が低下し、うつ病や不安障害などの問題が生じる可能性があります。

また長期間にわたるストレスは不眠、食欲不振、頭痛、胃腸の不調などの身体的症状を引き起こすことがあります。これにより、日常生活や仕事のパフォーマンスにも悪影響を及ぼす可能性があるのです。

社会関係や職場環境への影響

職場におけるモラハラは、被害者だけでなく周囲の雰囲気や生産性にも影響を与えます。被害者が仕事に集中できなくなるだけでなく、チーム内のコミュニケーションが阻害され、全体のモチベーションの低下を招きます。これは組織全体のパフォーマンス低下につながり、場合によっては企業の評判にも影響を与えることがあります。

長期的な社会への影響

モラハラは、長期的に社会問題化する可能性があります。職場や家庭でのモラハラが常態化すると、それが「許容される行動」と誤解されるリスクがあり、社会全体のモラルの低下を招くことになりかねません。またモラハラ被害者の中には、その経験が原因で社会から孤立するケースもあり、これがさらなる社会的な問題を引き起こす可能性があるのです。

モラハラを見分ける方法

モラハラを見分けるには、その兆候と特徴を理解することが大切です。以下より兆候や特徴、見分けるポイントを見ていきましょう。

モラハラの兆候と特徴

モラハラは、精神的な虐待や侮辱的な行動を伴います。具体的には、常に否定的なコメントをする、嘲笑、脅迫的な言葉、過小評価、社会的な孤立を強いるような行動などが含まれます。これらの行為はしばしば被害者の自尊心を損ない、自己効力感を低下させることにつながります。

被害者が気づくためのポイント

被害者自身がモラハラされていると気づくためには、自分の感情や反応に注意を払うことが重要です。自分が常に不安、恐怖、落胆を感じるようなら、それはモラハラの兆候かもしれません。また自分の意見や感情を表現することが困難になったり、自己否定的な考えが増えたりする場合も、モラハラを疑ってみることが必要です。

周囲の人が気づくためのポイント

周囲の人がモラハラに気づくためには、被害者の行動や態度の変化に注目することが必要です。

被害者が普段と異なり、引っ込み思案になったり社交的でなくなったりするようなことがあれば、それはモラハラの影響かもしれません。また、被害者が特定の人物とのやり取りで不自然に緊張する様子を見せる場合も、モラハラが疑われます。

モラハラへの対処法

モラハラへの対処法として、個人レベル、社会・制度レベル、被害者支援のためのサポートがあります。

個人レベルでの対処法

個人レベルでは、まずは自己防衛が大切です。モラハラを受けていることをはっきりと認識し、必要ならその場を離れるなどして自分を守りましょう。また信頼できる家族や友人、同僚などに相談することも有効です。企業や学校などに設置された相談窓口や、ハラスメント対策部門を利用するのもひとつの方法です。

社会・制度レベルでの対応

社会や制度レベルでは、法律に基づく対策や企業ポリシーの整備が重要です。ハラスメントに関する法律を理解し、企業や教育機関がこれに準じたポリシーを策定・実施することが求められます。また、職場や学校でのハラスメント防止教育や研修を定期的に行うことで、モラハラの予防と意識向上が図られます。しかしまだ、根本的な解決に至っているとはいえない現実があります。より包括的な対策と、法的枠組みの確立が求められています。

被害者支援のためのサポート

被害者を支援するためには、適切なサポートシステムの提供も重要です。カウンセリング、法的支援、メンタルヘルスの専門家へのアクセスなどがそれにあたります。これにより被害者は必要な支援を受け、モラハラの影響から回復する手助けを得ることができます。

まとめ

モラハラは職場、家庭、学校などで起こっており、被害者の心理的・身体的健康に深刻な影響を及ぼす重大な社会問題です。日本においても、多くの人がモラハラを受けている現状があります。モラハラにより被害者は自尊心の低下やうつ病、不安障害のリスクに直面し、日常生活や職場環境にも悪影響を与えます。長期的には、社会全体のモラル低下や社会問題化のリスクもあります。個人レベルでの自己防衛、社会・制度レベルでの法律整備と企業ポリシーの策定、被害者支援のサポートシステムが模索されていますが、今後はさらなる充実が必要です。あらゆる世代がモラハラに対する解像度を高め、対応への意識を向上させることが、この問題を解決するためには欠かせないのです。