探偵という仕事の実態
「探偵ってどんな職業なの?」「どんな仕事をするの?」
これは現実の探偵を知らない方にしてみれば、ふと思ってしまう疑問の一つかもしれません。
「ドラマや小説では昔からよく見るけど・・・?」というのが率直な感想ではないでしょうか。
実際に自分が探偵事務所で働いていることを自己紹介した場合、どんな仕事をしているのかを聞かれてしまうことも多いです。
ネットで調べれば色々情報が出てきますが、中にはおそらく探偵ではない人、探偵の仕事をしたことがない人が書いているケースも見られます。
ここでは、探偵に何となく興味がある人、探偵として働いてみたい人、もちろん探偵に調査を依頼したい方へも向けて、現実の探偵の実態について書いてみたいと思います。
探偵業の定義
探偵とは何か?どんな仕事をするのか?を語る上で、まず探偵業の定義を確認する必要があります。
これは「探偵業法」という法律に記載されています。
第二条(定義)
他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務を行う営業をいう。
実地の調査とは、調査員が実働し、現地にて実際に尾行・張り込み・聞き込み等を行う調査のことです。
この条件を満たしていない場合は探偵業務とはなりません。
わかりやすく言うと「依頼者の依頼を受けて、尾行・張り込み・聞き込み等を用いた調査を行い、その結果を依頼者に報告する」のが探偵業です。
この探偵業を営むのが探偵事務所もしくは興信所、そこで働く人たちが探偵ということになります。
探偵の資格・届出について
現在のところ、探偵になるための必須の資格はありません。
但し、個人・法人に関わらず、探偵事務所を経営するには上記の探偵業法により管轄の警察署(正確には都道府県公安委員会)に届出が必要となります。
無届け営業や欠格事由のある人が代表者となると探偵業法違反となり罰則があります。
別の言い方をすれば、無届け営業者や欠格事由のある人は探偵になる資格がないとも言えますね。
探偵を名乗る詐欺
一時期、「探偵事務所」を名乗り、身辺調査をする旨の脅し通知を送り付けてお金を要求する詐欺や、詐欺被害者に対して債権回収の営業をかけて二次被害を引き起こす詐欺が問題になっていました。これらの詐欺行為は、一見すると探偵業者が詐欺を行っているように見えるかもしれませんが、実際には探偵業届出を正式に行っている業者とは異なり、探偵事務所を名乗っただけの詐欺業者が関与していました。
これらの詐欺業者は、実際の探偵業届出を持たない偽の業者であり、探偵業の名前を利用して信用を装うことによって、無知な人々や被害者を騙そうとします。脅し通知や債権回収の営業は、探偵業の正式な資格や信頼性とは無関係であり、実際には詐欺の手口を使って金銭をだまし取ることを目的としています。警察に届出を行い、適正な手続きを踏んでいる探偵業者は、こうした詐欺行為を行うことはなく、もしそのような行為が発覚した場合にはすぐに足がつくことになります。
詐欺業者が使用する手口の一つは、実在する探偵事務所を装うことであり、見た目には合法的な業者であるかのように見せかけることで被害者を引き寄せます。これに対抗するためには、探偵事務所の信頼性や資格を確認することが重要です。具体的には、業者が正式に探偵業届出を行っているか、業界団体に所属しているか、過去の実績や評判を調べることで、その業者が正当であるかどうかを見極めることができます。
また、調査依頼をする際には、契約内容や料金についても詳細に確認し、怪しい点や不明確な点があれば慎重に対応することが大切です。詐欺業者による被害を避けるためには、信頼できる業者を選ぶことと、契約の際に十分な確認を行うことが不可欠です。
探偵の仕事の実態
相談者の相談を聞く
↓
相談への回答や調査提案をする
↓
相談者と調査契約を締結する
↓
調査を行う
↓
依頼者に調査結果を報告する
上記の一連の流れが探偵の最も重要な業務となります。
もちろんこれらに加えて普段から発生する事務作業や雑用もあります。
探偵事務所の経営としては、これに宣伝活動、雇用など通常の企業経営が加わることになります。
探偵は様々
探偵の仕事と一口に言っても、実際には探偵事務所や興信所によって多くの役割分担が行われています。基本的な役割としては、経営者が事務所の運営や全体の管理を担当し、依頼者との相談を行う相談員、そして調査現場で実際に尾行や調査を行う調査員がいます。
さらに、探偵事務所によっては、契約業務だけを専門に担当する人や、依頼者と現場調査員の間での連絡業務を行う担当者もいます。役割はそれぞれ異なり、調査の効率や専門性を高めるために分業が進んでいるのです。例えば、バイクや車両での尾行に特化した調査員、張り込み用の車両の管理や運転に専念する調査員、そして撮影専任の調査員など、細かく分かれた役割が存在します。
このように、探偵事務所では様々な専門家が役割を分担しており、それぞれの役割が連携して調査を行うことで、高いクオリティのサービスが提供されています。役割分担によって、各調査員が特定のスキルや知識を深めることができ、より効果的に調査を進めることが可能になります。
一方で、探偵業界にはプライドが高い人も多く、「○○をしない、できない探偵は探偵を名乗る資格がない」といった意見を持つ人もいます。これは、探偵という職業に対する高い自負心や、職業倫理から来ているものでしょう。探偵の仕事は非常に繊細で責任が重く、多くの経験や専門知識を必要とします。そのため、一部の探偵は、自分が扱うべき業務やスキルに対して強い信念を持っている場合があります。
これにより、探偵事務所や興信所の選び方や、依頼者がどのようなサービスを受けるかに大きな影響を与えることがあります。依頼者は、自分のニーズに合った専門的なサービスを提供している事務所を選ぶことで、より適切なサポートを受けることができるでしょう。また、探偵業界の中での役割分担や専門性の違いを理解しておくことも、依頼者が満足のいく調査結果を得るために重要です。
しかし、現場調査の経験があり、依頼者の相談にも対応できる実務的な知識を持っている人を「探偵ではない」と断定することはできません。探偵業務には、多岐にわたる専門的なスキルや経験が求められますが、それを持つ人々が全て「探偵ではない」とされるわけではありません。実際に探偵事務所で働き、業務をこなしている以上、彼らはその仕事に対するプロ意識を持っており、専門家としての責任を果たしていると言えるでしょう。プロとしての意識と実務経験を備えている限り、どんな立場であっても「プロの探偵」と見なされます。
また、探偵業界においては、事務所の規模によって担当する業務の範囲や数が異なるため、小規模な探偵事務所ほど、所属する探偵の数が少なくなる傾向があります。これにより、少数の探偵が多くの業務を一手に担うことになります。小規模な探偵事務所では、調査から相談、契約業務まで、さまざまな役割を一人の探偵がこなすことが一般的です。
一方、個人探偵として独立している場合は、全ての業務を一人で担当することになります。個人探偵は、調査の計画立案から現場での調査、報告書の作成まで、すべてを自らの手で行う必要があります。このため、個人探偵には幅広いスキルと高い自己管理能力が求められます。
さらに、他社からの依頼を受けて調査を行う下請け業務中心の探偵も存在します。これらの探偵は、主に他の探偵事務所や企業から委託された調査を専門に行うことが多く、特定の分野や調査手法に特化している場合があります。下請け業務を中心に行う探偵は、依頼主との直接的な契約ではなく、契約先の事務所との連携によって業務を進めることになります。
このように、探偵業界にはさまざまな形態や役割が存在し、それぞれの立場や業務に応じたプロフェッショナリズムが求められます。どの形態であれ、探偵業務に従事している限りは、その専門性や職業意識が重要であり、各々の業務においてプロとしての責任を全うすることが求められています。
探偵調査の種類
- 浮気調査
- 素行調査
- 勤務先調査
- 所在調査
- 家出、行方調査、人探し
- 結婚調査
- 身辺調査
- 企業信用調査
- 盗聴機器 発見調査
- その他トラブルに関する調査 等
探偵業界で代表的な調査方法として、尾行や張り込みを行う素行調査が挙げられます。この方法は、配偶者や交際相手の浮気を調べる浮気調査において、特に高いニーズがあります。浮気調査は、探偵業界において最も需要のある調査であり、多くの依頼者がこのサービスを利用しています。
また、勤務先を調べる調査や居所を突きとめる所在調査においても、探偵の尾行技術が活用されます。これらの調査では、対象者の移動や行動パターンを把握するために、尾行や張り込みが非常に有効です。勤務先や居所の特定は、調査の成功に欠かせない重要な要素です。
さらに、探偵は身辺調査や信用調査といった調査も行います。これらの調査では、聞き込みや情報収集を通じて、対象者の背景や信用状況を詳細に調べることが求められます。身辺調査は、対象者の生活環境や人間関係を明らかにするために行われ、信用調査は企業や個人の信頼性を確認するために使用されます。
また、情報収集系の調査やトラブル解決のための証拠収集調査も、探偵業務の重要な分野です。情報収集系の調査では、必要な情報を集めるために様々な手法が用いられ、トラブル解決のための証拠収集調査では、法的な証拠を収集することが目的です。
人探しや盗聴機器の発見調査も、探偵業界における定番の調査の一つです。人探しは行方不明者を探すために行われ、盗聴機器の発見調査は、隠された盗聴装置を見つけるために行われます。これらの調査は、特定の目的に応じて非常に専門的な技術と知識が求められます。
なお、探偵には特別な権限は付与されておらず、調査には一定の制限があります。違法行為を行うことはできず、法に則った適正な手続きを踏んで調査を行います。しかし、何かトラブルやお悩みがある場合には、探偵に相談することで、専門的なアドバイスやサポートを受けることができます。探偵は様々な問題解決のために幅広い調査を行っており、困りごとがあれば気軽に相談してみると良いでしょう。
探偵の調査料金
探偵業界では、依頼者との料金トラブルが多いとされており、そのために「高額な料金がかかる」といったイメージを持たれることがよくあります。探偵に依頼を検討している方にとって、料金についての詳細な説明がホームページに掲載されていることは、安心感をもたらす重要な要素となります。料金システムが明確に説明されていると、依頼者は予算の見通しを立てやすく、予想外の追加費用やトラブルを回避しやすくなります。
料金の詳細が分かりやすく説明されていることで、依頼者はどのようなサービスが含まれているのか、またその費用がどのように算出されるのかを理解することができます。これにより、事前に費用についての不安を解消し、契約時に発生しうるトラブルを防ぐことが可能になります。例えば、時間料金制やパック料金制、成功報酬制など、さまざまな料金システムの詳細や、それに含まれるサービス内容がしっかりと説明されていれば、依頼者は自分のニーズに合ったプランを選びやすくなります。
さらに、料金システムの透明性が高いことで、探偵業界全体の悪いイメージの払拭にもつながると考えられます。料金が不明瞭であったり、追加費用が多い場合、依頼者は不安を感じ、結果的に探偵業界に対する信頼感が低くなることがあります。これに対抗するためには、探偵事務所が料金体系を詳しく説明し、依頼者が安心してサービスを利用できるようにすることが重要です。
また、料金についての詳細な説明は、探偵業者自身の信頼性や誠実さを示す指標ともなります。料金システムが明確であることで、業者は誠実な業務運営を行っていることを示し、依頼者からの信頼を得ることができます。依頼者にとっても、料金の詳細が理解できることで、納得した上でサービスを利用することができ、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
総じて、料金システムの詳細な説明は、探偵業者と依頼者双方にとって有益であり、依頼者が安心してサービスを利用できる環境を整えるために非常に重要です。探偵業界に対する不安や疑念を減らし、より良いサービス提供につながるよう努めることが望まれます。