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「途絶えた糸を手操る」:情報取集のプロが語る、人探しのリアル

「はじめに:人探しは「物語である」


人探しは単に情報や手がかりを追いかける作業ではなく、そこには必ず「物語」が存在します。探す人と探される人の間に流れた時間、関係性、それぞれの人生、そして探し出すことで生まれる新たな展開など、まさにドラマと言えるでしょう。
・人探しを物語として捉える視点

:失われた時間の物語: 人探しは、過去と現在を結びつける行為です。失われた時間の中で、何が起こり、なぜ人が離れ離れになったのか、その背景にはそれぞれの物語があります。
:関係性の物語: 家族、友人、恋人など、探す相手との関係性は様々です。その関係性の中で生まれた喜び、悲しみ、後悔といった感情が、人探しの動機となります。
:人生の物語: 人を探すことは、その人の人生の一部を追体験することでもあります。その人がどのような人生を歩んできたのか、どのような状況にいるのかを知ることで、物語は深みを増します。
:再会の物語: 人探しが成功した時、そこには新たな物語が生まれます。再会によって過去が清算されたり、新たな関係が築かれたり、物語は未来へと続いていきます。

「情報収集の最前線:公開情報と非公開情報」

・公開情報(公知情報)
公開情報とは、一般に公開されており、誰でも容易にアクセスできる情報のことを指します。インターネットの普及により、その量は飛躍的に増大しており、情報収集の基盤となります。以下に具体的な情報源と活用例を挙げます。
:インターネット検索エンジン(Google、Yahoo!など): 氏名、居住地、勤務先、趣味など、あらゆるキーワードで検索することで、ウェブサイト、ブログ、ニュース記事、SNSプロフィールなど、多岐にわたる情報を得られます。
:SNS(Facebook、Twitter、Instagram、LinkedInなど): 個人の近況、交友関係、趣味嗜好、過去の発言などを把握できます。ただし、プライバシー設定によっては情報が制限される場合があります。
:ニュースサイト、新聞記事データベース: 過去の事件、事故、表彰、インタビュー記事など、公的な記録を遡って調査できます。
:官公庁ウェブサイト: 法務局の登記情報、国税庁の法人番号公表サイト、自治体の広報資料など、公的な情報を入手できます。
:電話帳、住宅地図: 居住地や連絡先の手がかりとなります。近年はインターネット上のサービスも充実しています。
:商業登記簿: 企業の名称、所在地、役員情報などを確認できます。
:不動さん不動産登記簿: 土地や建物の所有者情報、抵当権設定状況などを確認できます。

・公開情報のメリット
:容易なアクセス: インターネット環境さえあれば、誰でも手軽に情報を入手できます。
:低コスト: 基本的に無料で利用できる情報源が多いです。
:網羅性: 広範囲にわたる情報を収集できます。

・公開情報のデメリット
:情報の信憑性: 出所不明の情報や古い情報、誤った情報が含まれている可能性があります。情報の取捨選択と真偽の判断が重要です。
:プライバシーへの配慮: 公開されている情報であっても、安易に拡散したり、誹謗中傷に利用したりすることは許されません。倫理観を持って情報を扱う必要があります。

・非公開情報
非公開情報とは、一般には公開されておらず、特定の権限を持つ者のみがアクセスできる情報のことを指します。個人情報保護法などの法令によって厳重に管理されており、取得には正当な理由と法的手続きが必要です。探偵事務所などの専門家は、法的範囲内で、以下のような情報源から情報を収集することがあります。
:弁護士会照会: 弁護士を通じて、特定の情報について関係機関に照会をかけることができます。
:調査会社による独自調査: 専門的なノウハウやネットワークを駆使し、独自のルートで情報を収集します。
:聞き込み調査: 関係者や周辺住民に聞き込みを行い、情報を集めます。
:張り込み・尾行: 対象者の行動を監視し、情報を収集します。

・非公開情報の取得における注意点

:違法行為: 不正な手段で個人情報を取得することは、法律で厳しく禁じられています。
:倫理的な配慮: 個人のプライバシーを侵害するような情報収集は厳に慎むべきです。」

「聞き込み調査の技術:関係者からの証言」


・関係者とは?
聞き込み調査における「関係者」とは、対象者と何らかの繋がりを持つ人物を指します。具体的には、以下のような人物が挙げられます。
:家族、親族
:友人、知人
:職場関係者(同僚、上司、部下)
:近隣住民
:取引先、顧客
:過去の交際相手

・聞き込み調査の技術
関係者から効果的に証言を得るためには、以下の点に注意する必要があります。
:信頼関係の構築: 相手に警戒心を与えず、安心して話してもらうためには、丁寧な言葉遣いや態度で接し、信頼関係を築くことが重要です。身分を偽ることは倫理的に問題があるため、探偵であることを明確に伝え、調査の目的を丁寧に説明することが大切です。
:質問の仕方: 尋問のような口調ではなく、会話の流れの中で自然に質問をすることが重要です。誘導尋問にならないよう、中立的な質問を心がけ、相手の記憶を呼び起こすような質問をすることで、より多くの情報を引き出せる可能性があります。
:傾聴: 相手の話を注意深く聞き、共感する姿勢を示すことで、相手はより心を開いて話してくれるようになります。相槌を打ったり、要点を繰り返したりすることで、相手に「きちんと聞いている」ということを伝えることが大切です。
:記録: 聞き取った情報は、後で整理・分析するために、詳細に記録しておく必要があります。可能であれば、録音やメモを取ることを相手に許可を得て行いましょう。
:情報源の秘匿: 聞き込み調査で得た情報は、情報提供者のプライバシー保護のため、厳重に管理する必要があります。

「デジタルツールの活用:SNS、ネット検索」
・SNSの活用
SNSは、個人の近況、交友関係、趣味嗜好、行動パターンなど、貴重な情報が豊富に詰まった宝庫と言えます。探偵は、以下のような方法でSNSを活用しています。
:アカウント特定: 対象者の氏名、ニックネーム、過去の勤務先、出身校など、あらゆる情報からSNSアカウントを特定します。複数のSNS(Facebook、Twitter、Instagram、LinkedInなど)を横断的に検索することで、より多くの情報を得られる可能性があります。
:投稿内容の分析: 過去の投稿内容を分析することで、対象者の思考傾向、価値観、興味関心などを把握できます。写真や動画からは、交友関係、生活環境、行動範囲などを推測できます。
:交友関係の把握: 友達リストやフォロワーリストを分析することで、対象者の交友関係を把握できます。そこから、新たな情報提供者を見つけ出すことも可能です。
:位置情報の活用: 位置情報付きの投稿から、対象者の行動範囲やよく行く場所を特定できます。過去の投稿を遡ることで、過去の行動履歴を把握することも可能です。

・関係者からの証言の種類
関係者からの証言には、以下のような種類があります。
:目撃証言: 事件や対象者の行動を直接目撃した証言。
:伝聞証言: 他の人から聞いた話。信憑性を慎重に判断する必要がある。
:状況証言: 事件や対象者の状況に関する情報。状況証言を複数集めることで、事実関係を推測できる場合がある。
:人物評: 対象者の性格、行動パターン、交友関係などに関する情報。

・情報収集の注意点
:プライバシー設定によって情報が制限されている場合があるため、注意が必要です。
:投稿内容が必ずしも真実とは限らないため、情報の信憑性を慎重に判断する必要があります。
:SNSのアカウントを不正に取得したり、ハッキングしたりする行為は違法です。

・ネット検索の活用
インターネット検索は、公開されている情報を網羅的に収集する上で、非常に有効な手段です。探偵は、以下のような方法でネット検索を活用しています。
:氏名検索: 対象者の氏名で検索することで、ウェブサイト、ブログ、ニュース記事、オンラインデータベースなど、様々な情報を得られます。同姓同名が多い場合は、他の情報(年齢、居住地、勤務先など)と組み合わせて検索することで、目的の人物を絞り込むことができます。
:画像検索: 対象者の写真を入手している場合は、画像検索を利用することで、同一人物が写っている他の写真やウェブサイトを見つけられる可能性があります。
:住所検索: 対象者の住所が分かっている場合は、住所検索を利用することで、周辺の地図情報、不動産情報、近隣情報などを得られます。
:電話番号検索: 対象者の電話番号が分かっている場合は、電話番号検索を利用することで、名義人情報や関連するウェブサイトなどを得られる可能性があります。
:企業情報検索: 対象者の勤務先が分かっている場合は、企業情報検索を利用することで、企業の概要、所在地、従業員情報などを得られます。
:過去のニュース記事検索: 対象者が過去に事件や事故に関わっていた場合、ニュース記事データベースを検索することで、当時の状況を把握できます。

・情報収集の注意点:
:インターネット上には、信憑性の低い情報や古い情報、誤った情報が含まれている可能性があります。情報の取捨選択と真偽の判断が重要です。
:個人情報保護法などの法令を遵守し、違法な情報収集を行わないように注意する必要があります。

「情報の取捨選択:信憑性を見極める」


・情報の種類と信憑性
情報には様々な種類があり、それぞれ信憑性に違いがあります。
:一次情報: 情報の発信源から直接得られる情報。例えば、目撃者の証言、公的機関の発表資料、企業の公式ウェブサイトの情報など。信憑性は比較的高いと言えます。
:二次情報: 一次情報を基に作成された情報。例えば、ニュース記事、報道番組、インターネット上のまとめサイトなど。一次情報と比較すると、情報が歪められている可能性や、解釈が加わっている可能性があるため、信憑性を慎重に判断する必要があります。
:伝聞情報: 人から聞いた話。情報の伝達過程で内容が変化している可能性が高く、信憑性は低いと言えます。あくまで参考情報として扱い、裏付け調査を行うことが重要です。

・情報の信憑性を見極めるための具体的な方法
1.情報源の確認: 情報がどこから発信されているのかを確認します。公的機関や信頼できる情報源からの情報であれば、信憑性は高いと言えます。匿名の情報や出所不明の情報は、慎重に扱う必要があります。
2.情報の裏付け: 複数の情報源から同じ情報が得られるかを確認します。複数の情報源が同じ内容を伝えている場合、情報の信憑性は高まります。
3.情報の鮮度: 情報がいつ作成されたものかを確認します。古い情報は、現在の状況と異なっている可能性があります。特に、状況が変化しやすい情報(例えば、連絡先、居住地、勤務先など)は、最新の情報かどうかを確認することが重要です。
4.情報の客観性: 情報に偏りがないかを確認します。特定の立場や主張を強調している情報は、客観性に欠ける可能性があります。複数の視点から情報を収集し、偏りがないかを確認することが重要です。
5.情報提供者の動機: 情報提供者がどのような目的で情報を提供しているのかを考慮します。個人的な恨みや利益のために虚偽の情報を提供している可能性も考慮に入れる必要があります。
6.情報の整合性: 収集した情報同士に矛盾がないかを確認します。矛盾がある場合は、どちらかの情報が誤っている可能性があります。矛盾点を解明するために、追加調査が必要となる場合があります。
7.常識との照らし合わせ: 情報が常識的に考えて妥当かどうかを判断します。あまりにも突飛な情報や、常識では考えられない情報は、疑ってかかる必要があります。
8.専門家への相談: 必要に応じて、専門家(例えば、弁護士、税理士、技術者など)に相談し、情報の真偽や解釈について意見を求めることも有効です。

「人探しにおける倫理:プライバシーの尊重」


倫理的に配慮すべき点:法令遵守に加えて、以下のような倫理的な配慮も重要です。
1.調査目的の正当性: 依頼の目的が正当なものでなければ、調査を行うべきではありません。例えば、ストーカー行為や差別につながるような調査は、倫理的に許されません。
2.情報収集方法の適切性: プライバシーを過度に侵害するような方法、例えば、不法侵入、盗聴、尾行の過剰な実施などは避けるべきです。
3.情報提供者の保護: 情報提供者が、情報提供によって不利益を被る可能性がないか、十分に配慮する必要があります。情報源の秘匿は徹底しなければなりません。
4.得られた情報の適切な管理: 調査で得られた個人情報は、厳重に管理し、目的外に利用したり、第三者に漏洩したりしてはなりません。
5.依頼者への適切な説明: 調査の目的、方法、結果について、依頼者に丁寧に説明し、理解を得ることが重要です。また、倫理的に問題があると思われる依頼は、断る勇気も必要です。

・具体的な倫理違反の例
1.違法な手段による情報取得: 盗聴器の設置、不正アクセス、身分詐称など。
2.プライバシーの過度な侵害: 必要以上の尾行や張り込み、私生活の詳細な情報の暴露など。
3.差別的な目的での調査: 人種、宗教、性別などを理由とした差別的な調査。
4.ストーカー行為への加担: ストーカー行為を助長するような情報提供。
5.脅迫や強要: 調査対象者や関係者を脅迫したり、強要したりする行為。

「おわりに:見つかるまで諦めない」

人探しは短距離走ではなく、マラソンのようなものです。すぐに結果が出るとは限りません。情報が錯綜していたり、対象者が意図的に身を隠している場合、調査は長期に及ぶこともあります。そのような状況でも、諦めずに粘り強く調査を続けることが、成功への鍵となります。人探しは、決して簡単な作業ではありません。しかし、「見つかるまで諦めない」という強い意志と、情報収集のプロのサポートがあれば、必ず道は開けます。もしあなたが大切な人を探しているなら、決して諦めずに、専門家である探偵に相談してみてください。私たちは、あなたの力になれると信じています。