HOME > コラム一覧 > 浮気・不倫に関する法律 > 浮気・離婚の慰謝料

浮気・離婚の慰謝料

「慰謝料」という言葉は、浮気によって配偶者が心の傷や苦痛を受け、その損害を賠償するための法的な概念を指します。この概念は、浮気をされた側が感情的なダメージや心理的な苦痛を受け、それに対する補償を求める際に使用されます。

浮気をされた側が損害賠償を請求できる背景には、感情的な苦痛や心の傷だけでなく、経済的な損害も含まれます。例えば、精神的なストレスによる医療費、心理療法の費用、離婚や別居に伴う財産分与や養育費の損失などが考慮されます。慰謝料は、これらの損害を補償するための一環として法的に認められています。

法的な仕組みでは、浮気行為が損害をもたらすと認定されれば、慰謝料の支払いが求められることとなります。ただし、具体的な金額や条件は個別のケースによって異なり、法的手続きや証拠の提出が必要です。感情的な被害を数値化することは難しいため、裁判所や関係者間で合意が成されることが一般的です。

慰謝料の請求は、浮気行為によって生じるさまざまな損害に対する公平な補償を目指すものであり、法的な手続きを通じて公正な解決を図る仕組みが整っています。

慰謝料は精神的損害賠償

まず、浮気という行為は法的には不貞行為といい、不貞行為は民法709条の不法行為に該当します。

不法行為は、他人の権利を侵害したり損害を与えた場合はその損害を賠償しなければならない、と定める法律です。

第709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

そして不貞行為は「精神的に損害を与える行為」と解されています。

例えば、夫が浮気をした場合は妻に精神的損害を与えたことになり、同じように夫の浮気相手も妻に対して精神的損害を与えたことになります。

このような損害を受けた妻は、その加害者である夫・浮気相手に対して損害賠償を請求することができ、損害の賠償は原則として金銭で行われます。この精神的損害による金銭賠償を慰謝料というわけです。

浮気

慰謝料請求における立証責任

不法行為による損害を主張するためには、確かに相手から受けた損害を自らの手で裁判で証明する必要があります。この証明は裁判で勝訴できる証明であり、そのためには具体的な不法行為が行われたことを示す「証拠」が欠かせません。特に不貞行為の場合、その最も根幹となるのは「浮気の証拠」です。

浮気の証拠は、裁判所において説得力を持つものでなければなりません。例えば、浮気相手との通話記録、メッセージやメールの交換、写真やビデオ映像、または目撃証言などがその一例です。これらの証拠は、法的手続きにおいて不貞行為が実際に行われたことを確実に示すものでなければなりません。

浮気の証拠が不十分である場合、裁判所は損害が実際に発生したことを認めるのが難しくなります。したがって、不法行為に対する損害賠償を求める際には、証拠の収集や整理が非常に重要です。裁判所が納得しやすい具体的で信頼性の高い証拠が揃うことで、勝訴の可能性が高まります。

仮に当事者同士での話し合いで損害を賠償してもらうにしても、裁判で証明されない限り、損害を賠償しようとしない人が多いと考えられます。損害を与えたという自覚があっても、その賠償を支払うことを逃れようとする傾向は残念ながら広く見受けられます。

特に浮気や不貞行為に関しては、感情的な背景や複雑な人間関係が絡むことから、話し合いだけで解決するのは難しいことがあります。当事者同士の話し合いにおいては、証拠の提示や法的な要素が十分に考慮されないことがあり、その結果、損害賠償の実現が難しくなります。

浮気の場合、特に確かな浮気の証拠がなければ、相手に損害賠償を請求することは困難です。証拠が不十分だと相手が賠償の必要性を認めないことがあり、その結果、話し合いが平行線に終わることがあります。

このような状況から、慰謝料を請求する場合は、確かな浮気の証拠を手に入れることが必要です。法的な手続きにおいても裁判所が受け入れる確かな証拠がなければ、損害賠償を得ることは難しいと言えます。

離婚と慰謝料

浮気と時効のイメージ

配偶者に離婚を請求するには、「離婚原因」として法的な根拠が必要であり、その中で配偶者の浮気や不倫は「不貞行為」として位置づけられています。不貞行為は、離婚原因として明確に規定され、その法的な根拠があることから、離婚手続きにおいて最も一般的かつ明示的な理由の一つとなります。

「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」も離婚原因として挙げられていますが、配偶者が犯した不貞行為は民法上の「不法行為」に該当し、これが離婚原因として認められています。不貞行為は、婚姻関係の基本的な信頼や誠実さに対する違反とされ、これが婚姻を継続することが難しいと認められる要因の一つとなります。

法的に言及されている不貞行為は、配偶者に離婚を請求する上で非常に明確な基準となり、裁判所での認定がしやすい要素となります。このような法的な根拠があることで、離婚手続きにおいて公正かつ明確な基準が提供され、当事者が公平に判断を仰ぐことができるようになります。

離婚するかどうかの選択と慰謝料請求

離婚する・しないの選択は、当然のことですが被害者側に委ねられています。

離婚しないとしても、上述のように不貞行為に対しては慰謝料の請求は配偶者に対してできますし、また、浮気相手に対しても請求が可能です。

しかしもちろん、浮気の事実の証明が必要です。

仮に貴方が全く浮気もしていないのに疑われて、毎日責められたり束縛されたりしたら相当なストレスを感じることでしょう。

浮気調査や不倫調査によって得られた浮気や不倫の証拠をもって配偶者に対して初めて交渉でき、 配偶者は浮気という許されない行為の代償として相応の慰謝料を支払わなければならない、ということなのです。

慰謝料の請求期間

慰謝料の請求は前述致しましたが、離婚するしないに関わらず、請求はできます。

そこで問題になってくるのが浮気慰謝料の請求期間です。この請求は永久にできるというわけではなく、一種の「時効」が存在するのです。

浮気は刑事罰に該当せず浮気そのものに時効はありませんが、民法上において損害賠償請求権の期間制限があり、請求期間は原則「3年」とされています。

過去に行った浮気調査の報告書を5年間保管し、5年後にこの浮気の事実を基に慰謝料を請求しようとしても請求できないということなのです。

補足すると、浮気の事実を知り、かつ浮気相手が特定された時、つまり現実に沿えば興信所の調査報告書を受け取った日から3年となります。

例えば報告書を受け取り、1ヶ月間考えた後に配偶者にその事実を告げ、悩んだあげく、3年後に慰謝料請求では遅すぎてしまうのです。

極論すれば2年11ヶ月と29日後までには請求手続きを終わらせなければなりません。これは浮気相手に対しても同様となります。

3年経過しても請求せずに場合、貴方が配偶者の過去の浮気を許したものと法的に解釈されてしまいます。

いろいろと家庭の事情などがあり、早急な対策を取れない場合にはこの点を注意されておかれるとよろしいでしょう。